バブルの時には無駄遣いをするべきだった
あるいは、1980年代末のバブルの時のことを考えてみよう。なぜ、企業があれほど長い間苦しむことになったのだろうか。バブルとは、単に、あらゆる資産の価格があっという間に3倍になって、あっという間に3分の1になったということだけである。実際に売り買いがあったら、高く売った人は得をして、高く買った人は損をしたというだけである。日本全体では損も得もない。
日本経済が全体として長く苦しむことになったのは、資産の価格が高くなったのを見て、それを担保に借金をしてさらに資産を買った、すなわち、投資をしたからである。借金をして投資をするという行動が長期の停滞のきっかけとなった。資産が高くなったら喜んで、利益を皆で飲み食いに使ってしまったらそれで終わりである。あの時、楽しかったね。でも、あんなことはもうないね。残念だけど仕方がないね、で終わりである。長く苦しむことはない。
借金をして投資をしたのは、会社の意思決定が、自分は賢いと思っている少数の人々に握られているからである。バブルでたまたま儲かったのなら、皆の給料で配ってしまえば良かった。給料で配ると、ずっと同じ高い給料を寄こせとなるから困るというなら、ボーナスで配っても良い。ボーナスも同じ月数払えとなるなら、交際費で飲み食いするのが一番良かった。儲かった時と同じ交際費をずっと使わせよという労組はない。
バラマキはいけないというのは、より賢い大きな使い方ができると思っているからだろう。しかし、具体的に考えてみると、そのような賢い使い方ができることは、ほとんど期待できないのではないか。
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