2024年12月24日(火)

今月の旅指南

2015年2月27日

 京都の水源地に鎮座する貴船(きふね)神社。水を司る神、高龗神(たかおかみのかみ)を祀っており、歴代天皇が勅使を送り雨乞祈願を行ってきたことでも知られる。毎年3月9日には、古式にのっとった「雨乞祭(あまごいまつり)」が斎行され、往時の様子を偲ぶことができる。

 「雨乞祭は、元来貴船山の中腹にある雨乞の滝で行われていましたが、ここは現在草木が生い茂り禁足地となっています。一時途絶えていた雨乞祭を復興した際に、場所を本宮に移して斎行されるようになりました」と貴船神社権禰宜(ごんねぎ)の高井大輔さん。

 雨乞祭の当日は、宮司の祝詞(のりと)奏上に続き、神職2名が御神酒と塩の入った御神水を掛け合いながら本殿の前方、参拝者のいる方に向かってくる。他の神職が鈴や太鼓を鳴らしながら「雨たもれ、雨たもれ。雲にかかれ、鳴神(なるがみ)じゃ」と唱える。

神職が榊の枝を使って桶の御神水を天に向かって振りまく

 続いて、本殿前では絵馬焼納式が執り行われる。かつて雨乞いの際に本物の馬を神前に捧げて祈願、それがいつしか絵馬になった伝統にちなんだもので、神事復興の折に新たに加えられた。

 この時期に雨乞祭が行われるのは、田植えの始まる季節に先駆けて、一年の順調な天候と適度な水の恵みを祈願するためという。緑深い貴船の地で、水のありがたみを改めて実感したい。

雨乞祭
<期間>3月9日
<会場>京都市左京区・貴船神社(叡山電車鞍馬線貴船口駅からバス)
<問>☎075(741)2016
http://kifunejinja.jp/event.html

*情報は2015年1月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください

  
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◆「ひととき」2015年3月号より

 


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