2024年12月5日(木)

Wedge REPORT

2015年3月30日

農協改革をめぐる政府と農協組織の攻防戦の本丸は准組合員問題であった。准組合員問題と農協が経営する農業とは無縁の事業の実態とは─。

*この記事は、Wedge4月号の特集「滅びゆく農協」の第3章を掲載したものです。

 一連の農協改革において、JA全中にとっての本丸は、准組合員問題だった。准組合員の事業利用量に規制がかけられたら、JA全中の負け。農政族議員を応援につけての政府とのガチンコ勝負は、水入りに終わってしまった。農林水産業・地域の活力創造本部が出した「農協改革の法制度の骨格」には、こう表現されている。

 「准組合員の利用量規制のあり方については、直ちには決めず、5年間正組合員及び准組合員の利用実態並びに農協改革の実行状況の調査を行い、慎重に決定する」

 農協は農業の協同組合なので、正組合員だけで組織を構成するのが筋。農家の数が減り、農村が変貌していくと、正組合員だけでは組織を維持することができなくなってきた。そこで農家でもない一般利用客を准組合員にすることにした。

 正組合員が減り、准組合員が増え続けた結果、2009年、ついにその比率が逆転してしまった。農家でもない非農家が多数となった農協に、補助金など税制上の優遇措置を与えたりするのは、国民の理解は得られないと考えた政府は、准組合員の農協事業を利用する量的規制を導入しようとした。

 その量的規制とは、農協法によく似た例がある。組合員以外の利用を規制した員外利用の規制だ。例えば、農協貯金。組合員が預けた貯金が100億円としたら、員外利用はその25%以内、25億円以下という農協法の規定で、これと同じような量的規制を准組合員にも被せようとしたのだ。それが導入されると、事業活動の基盤が崩れかねないと考えたJA全中は、組織をあげて反対運動に取り組んだ。今回は、5年間という猶予期間を与えられたが、この問題は必ず蒸し返される。

「副業」の経営にも苦しむ

 萬歳章JA全中会長を送り出したJA新潟みらい(新潟市南区)とて、その例外ではない。福島県境から西へ新潟市をかすめて日本海までが事業エリアのJA新潟みらいは、中山間地、農村部、都市部をカバーする農協だ。


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