世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年4月10日

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 当初、米国の対中関係改善政策は、中ソ対立を背景に対ソ対抗政策の一つとして構想されました。その後、中国が改革開放路線をとり、それを通じて中国の漸進的民主化が希望され、前提とされました。中国経済の発展がそういう希望や前提をさらに強めることとなりました。中国の中産階級は民主化を志向するだろうと考えられたわけです。

 しかし今、冷静に1979年以来中国で起こったことを見ると、こういう希望や前提は、天安門事件の際の盛り上がりを例外として、成就されていないことが明らかです。中国は、対外拡張主義的で、「中華民族の再興」を夢とする民族主義的な軍事強国となり、内政面では、人権を侵害し、正統性がなくなってきている共産党支配に固執する権威主義的な国になっています。

 中国民族主義の矛先が向かうのは、どこよりも日本です。懸念すべきことです。

 何故こうなったのか、どうすればいいのか、将来どうなるのかについて、ハイアットも、この論説では、対処ぶりについて何も提言していません。問題は大きく、じっくりと検討すべきでしょう。

 第2次世界大戦後、ジョージ・ケナンが「ソ連の行動の源泉」といういわゆるX論文を発表し、これがソ連封じ込め政策につながりましたが、中国の問題はそれに匹敵する、あるいはそれ以上の知的資産を投じて解明すべき大問題でしょう。日本が役割を果たせる、そして果たすべき分野です。

  
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