「ロボットは何のために人の形なのか。だって人の形は作業効率悪いし、かさばるし、コスト上がるし、壊れやすいし、いいことない。唯一の利点は人が感情移入できること。人の形をしているから自然に話しかけようと思うんです。ロボットとの会話というと暇つぶしや癒やしなどと勘違いしている人が多いんですが、会話を通じてその人のライフスタイルや好みなどの情報を収集し、個々人に合わせたサービスとして還元するんです。それはまさに情報端末としての役割なんですね」
ロボット型スマホとコミュニケーションしながら生活のさまざまな分野でのサービスを受ける時代。高橋はひとり一台の時代が近づきつつあるという。そのためには、ポケットに入るくらい小さくする。未だにガラケーで止まっている私には、箱型スマホを飛び越えて、人型ロボットスマホに果たしてたどり着けるのか。で、ひとり1台の時代はどのくらい先に実現するのか気になる。
「10年以内じゃないかな。それを僕が作って世に出して、広めることができたらそうなります。『ゲゲゲの鬼太郎』の目玉おやじみたいな存在、『ピノキオ』のコオロギとか『ピーターパン』のティンカーベル、『魔女の宅急便』の黒猫ジジとか、古今東西、主人公を助けてくれる小さい物知りを求めていたんだと思います。これまで高性能や高機能で買い換え需要を生んできたのですが、もう限界まできてしまった。例えばテレビのリモコンには50個以上のボタンがありますが、すべての機能を使いこなせる人はいないんじゃないでしょうか。人が置いてきぼりになってしまった今、人の感情や愛着をちゃんと理解して、その本質を再現して取り込んだ製品を生み出すことが求められていると考えています」
だからデザインや色づかいにもこだわるし、ちょっとしたロボットの仕草のプログラミングにも細心の注意を払う。
テクノロジーを普及させるには、その方法も十分にデザインする必要があると高橋はいう。普通の人に家計をやりくりしてロボット費を捻出しロボット専門店に足を運んでもらい、暮らしの中にロボット取り入れてもらう、なんてことが突然起きるはずはない。だから、ロボットを購入するのは携帯電話ショップ。電話機として買ってもらい、通話やメール、ウェブ検索などこれまでの携帯電話やスマホと同じ使い方もできる。そんなロボットが徐々に生活の中に溶け込みながら、独自のポジションを築いていくという。