新たな市場であるIoTの世界では、生まれたてのベンチャーが大企業のライバルになり得る。ソニーもベンチャーらしさを求めて、新規事業創出部を設立した。
今年4月に日本で初めてスマートロックが発売される。これを世に送り出すのは昨年設立された、ものづくりベンチャーのフォトシンスだ。8月にはソニーも発売する予定で、今後両社による激しいシェア争いが予想される。
スマートロックは無線技術を利用して、スマートフォンと同期することにより、スマホをカギとして使うことが可能となる。インターネットに繋がっているため、開閉のログを取ることができ、ある時間帯だけ開閉の権限を他人に付与することもできる。
1年前、フォトシンスの河瀬航大氏(25歳)はIT企業のガイアックスで企画営業の仕事をしていた。その頃、巷でIoT(Internet of Things=あらゆるものをインターネットに繋げること)という言葉が流行り出し、「身の回りにあるモノでインターネットに繋がっておらず、繋がっていたら便利なものは何か」考えたところ、家のカギが思い浮かんだ。
土日や仕事の合間を縫って試作品を作ったところ、「アイデアが面白い」と新聞に取り上げられた。すると、会社すら立ち上げていないにもかかわらず、「その製品が欲しい」、「事業提携をさせてもらいたい」という問い合わせが殺到した。
「ビックリしましたよ」。河瀬氏はそう振り返る。9月にはガイアックスを退職して、20代のメンバー6人でフォトシンスを立ち上げた。
利便性や将来性に目を付け、事業提携の話が多方面から寄せられており、NTTドコモや大手不動産会社のホームズとは既に発売に向けて実証実験を行っている。
スマートロックと相性がよさそうなホテル企業、セキュリティー企業、空き家や空き部屋を個人旅行者などへ提供するアメリカ発のベンチャー企業Airbnbに宿を提供しているオーナーなどとも提携をしている。