2024年11月21日(木)

Wedge REPORT

2015年3月12日

 同じくソニーも8月に予定している発売日へ向け、最後の調整を行っている。もっともソニーといっても正確にはQrioというソニーとベンチャーキャピタル(VC)のWiLが出資した企業の製品として発売される。

 ここで1つの疑問が浮かぶ。なぜ、設立間もない「赤ちゃんベンチャー」が巨人・ソニーのライバルになり得るのか。

FORMULAの西野充浩氏

 「今はアイデアさえあれば、量産まで漕ぎ着けることができる時代です」。FORMULAの西野充浩社長は話す。西野氏はPCHインターナショナルの日本法人代表を務め、昨年独立した。PCHは製品の量産や物流などのサプライチェーンマネジメントを一括管理する、いわばメーカーの黒子である。アイデアをもつベンチャーに最適なサプライチェーンマネジメントを提供し、開発から量産まで手助けする。

 その後、独立してFORMULAを立ち上げ、設立間もないフォトシンスのアドバイザーとなり、河瀬氏らの頭の中にあったスマートロックの量産化に向けた手助けをしている。

 「リーンハードウェア、つまり、常に開発から生産まで含めた製品の最適化をすることがものづくり企業には求められ、私はそのノウハウを提供して、ものづくりベンチャーを支援しています」(西野氏)。FORMULAやPCHのような存在が、ものづくりベンチャーの存在感を高めている。

ソニーがVCのWiLと組んで出すスマートロック

 一方のソニーは先述したように、VCのWiLとタッグを組んでの商品発売というかたちを採用している。Qrioの出資比率はWiLが60%、ソニーが40%と過半をWiLが握る。

 この出資比率について「ソニーの出資比率を50%未満にしたところにソニーの本気度がみて取れる」と見る向きがある。スピード感のあるITベンチャー出身者が多いWiLと組むことで、製品化のスピードを早めているという見方だ。


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