2025年2月14日(金)

トランプ2.0

2025年1月18日

 第二次トランプ政権発足に合わせ、米国メディアで「illiberalism」論議が沸騰し始めている。伝統的な自由民主主義に代わり、ルールや常道を逸脱した偏狭な主義、思想が政策立案当事者の間でにわかに浮上しつつあるからだ。その中心人物が、トランプ氏最側近のスティーブン・ミラー副首席補佐官にほかならない。

「illiberalism」の旗振り役とも言われているスティーブン・ミラー副首席補佐官(ロイター/アフロ)

illiberalismとは

 「illiberalism(イリベラリズム)」については、「一般社会および世界の明確な規範、常識から逸脱し、個人の権利、自由に制限を加えようとする偏狭な主義、思想」「広く受け入れられている表現、思想、行動の自由を否認する特定集団の過激主義」などと定義され、一般的に、自由民主主義の対語として使用されている。

 米国ではとくに、トランプ氏が2016年大統領選勝利後、打ち出してきた常識破りの様々な政策や発言と軌を一にして、話題に上り始めた。

 そのトランプ第一次政権下の「イリベラリズム」の実態について、米コーネル大学哲学科ジャーナル「LOGOS」最近号は、次のように論じている:

 「トランプ大統領は4年間の任期を通じ、民主主義そして政治的カルチャーの堅持を旨とする様々な組織や慣行に対し、これを無視、またはあからさまな敵意を示してきたのみならず、専制体制の確立をめざしてきた。彼は幾多の憲法上の制約を乗り越え、不法移民大量追放、収容所の設置や、連邦政府内の大勢の不満分子に対する報復措置の必要を訴え、従来の官僚機構を捻じ曲げて自らの政治的意思に忠誠を尽くす人材で埋め尽くすことを公言してきた……この結果、トランプ氏はアメリカ・デモクラシーの構造そのものに対する致命的脅威とみなされてきた」

 しかし、そのトランプ氏が今回、再登場となったことで、民主主義政治に対する脅威がより一段と高まってきたとの見方が広がっている。


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