2025年3月14日(金)

トランプ2.0

2025年1月18日

 さらに「New Republic」は、去る12月27日、異例の続報を掲載、ミラー氏がトランプ氏とともに「MAGA」運動で果たしてきた“実績”として、以下の点を紹介している:

・21年に、「アメリカ第一主義」の政策課題に異議を唱えるバイデン政権への報復措置として、法廷闘争に持ち込むための「America First Legal」(AFL)なる非営利組織を立ち上げ、その後、幾多の訴訟を起こした

・健康保健政策に関し、米国独自の権限と主権を「腐敗した世界保健機関(WHO)」に明け渡した」として、「連邦保健・人的サービス省」を告発した

・23年8月、大手量販チェーン店「TARGET」が下請け工場などで、セクシャル・マイノリティ「LGBTQ」雇用容認ポーリシーを打ち出したことについて「株主に対する冒涜と価値観破壊措置」だとして告発

・23年11月、「全米自動車競走協会(NASCAR)」がレース会場での、人種差別のシンボルとされる「南部連合旗」掲揚を禁止したことや、メインレースに黒人ドライバーを登場させたことについて「白人、男性米国人に対する意図的差別措置」だとして連邦裁に告訴

・「AFL」は昨年1年間を通じ、企業側が雇用の際に、黒人、ヒスパニックなどマイノリティ人種に対する優遇措置をとってきたことについて、「雇用の機会均等に違反する」として、大手25社を相手取って訴訟

 同誌は、このような具体例に言及した上で、「これまで『AFL』が投じてきた5000万ドル以上とも言われる訴訟費用に対し、勝訴したケースは、一部南部諸州の場合を除き実際には多くはないものの、ミラー氏がつねにトランプ氏の「お先棒(cat’s paw)」となってきたことの十分な証しともなっている」との注釈をつけている。

すでに政策に踏み込んだ発言

 では、ミラー氏のような過激思想家を側近に抱えたトランプ大統領は今後、具体的にどんな行動に出るのだろうか。

 まずその疑問に先頭だって口を開いたのが、ほかならぬミラー氏自身だった。去る1月13日、かねてからトランプ氏の“御用メディア”で知られる「Fox News」の対談番組の中で、次のように語っている:

 「トランプ大統領は就任1日目から、切迫した諸問題について行動を起こし、おそらく100以上の大統領行政命令を出すことになるだろう。その中でも、外国人不法滞在者の大量国外退去措置は、税制改革、通商、国家債務上限などの懸案に先んじて最優先事項だ」

 「国外退去措置と同時に、不法入国者阻止徹底のための防護柵建設、上空、水上、海上からの徹底した監視作戦、連邦移民局による一時拘留用ベッドの大規模準備など、国境安全保障のためのパッケージ予算案について、共和党上院指導部がすでに作成中だ」

 「国外退去命令と国境封鎖のための大統領命令の署名に続き、共和党議会が速やかに大幅減税を含む包括的税制改革に向けた作業を開始することになる。財政改革、エネルギー改革がそのあとに続く」

 「トランプ大統領は、連邦政府官僚機構が真に大統領、そして国民に忠誠を尽くすようにするために必要な措置を取る……大統領は、貴重な米国民の税金の海外流出や、わが国家に憎悪を抱くラジカルな左翼系非政府組織に対する政府助成をただちに停止させる」

 ミラー氏のこのような発言は、トランプ新政権がまだ正式スタートしておらず、しかも、直接の上司であるワイルズ首席補佐官さえも沈黙を守っている段階であるだけに、いかにも突出した印象はぬぐえない。


新着記事

»もっと見る