世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年5月19日

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 同盟国の側は、以上のことを心得た上で、米国の同盟は防衛力、抑止力を引き続き提供しているものであることを、広く世論に納得させていかなければならない。

出典:Brad Glosserman & David Santoro,‘America's Real Challenge in Asia: The Reassurance Dilemma’(National Interest, April 16, 2015)
http://nationalinterest.org/feature/americas-real-challenge-asia-the-reassurance-dillema-12642

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 本件論説は、主として日韓両国を対象に「ジュニア同盟国としての心得」を率直に説いています。日韓両国間の摩擦を諭したものではなく、同盟論としても新味があるわけではありませんが、論点はほぼ尽くした、ほぼ現実に見合ったものと言えます。

 ただ、MDも通常兵器による攻撃システムも万全には程遠い現状で、「米国はMDと通常兵器による攻撃システムの開発にも重点を置いているのだから、米国の核兵器に期待し過ぎるな」といった指摘は、少し無責任と言うべきでしょう。また、核政策についてNATOへの言及がありますが、NATOでは、フランスを除く加盟国の国防大臣が定期的に議論しています。

 米国の対中政策に整合性を期待するな、というのも、そういう実態は否定できませんが、そこまで言い切ってしまうことには疑問があります。米国の対中政策がふらつくようであれば、それは、同盟国としては安全保障政策の根本にかかわることであり、同盟国側が注文を付けて当然です。ただ、米国の対中政策は、揺らぎが小さくなって来ているように見えます。

 最近、中国のアジア・インフラ投資銀行(AIIB)設立をめぐり、日本国内では「アジア主義」及び「米国没落論」が盛り返しています。しかし、欧州諸国等が、AIIBにすんなり拠出金を払うかは疑問が残ります。また、折しも上海株式市場はバブル様相を強め、世界の株式市況はその暴落を恐れて低落している状況にあります。

 つまり「覇権は中国に移行」していませんし、中国、韓国とも、米国、EUとの提携をその外交・経済関係の主軸としているのです。「アジア主義」者の議論は、非現実的です。米国との同盟関係維持においては、本件論説が列挙する様々な問題がありますが、粘り強く着実に対処・解決していくべきです。

  
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