チャイナ・ウォッチャーの視点

2015年5月19日

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富坂 聰 (とみさか・さとし)

ジャーナリスト

1964年、愛知県生まれ。北京大学中文系に留学したのち、豊富な人脈を活かした中国のインサイドリポートを続ける。著書に『苛立つ中国』(文春文庫)、『中国という大難』(新潮社)、『中国官僚覆面座談会』(小学館)、『ルポ 中国「欲望大国」』(小学館新書)、『中国報道の「裏」を読め!』(講談社)、『平成海防論 国難は海からやってくる』(新潮社)、『中国の地下経済』(文春新書)、『チャイニーズ・パズル―地方から読み解く中国・習近平体制』(ウェッジ)などがある。

 両国がなぜいま急接近しているのかという疑問についてCCTVは、その蓋然性を〈朝鮮は現在、社会の転換をはかっていて、政治面の孤立を脱却しようとしている〉のに対し、〈「ロシアの方は、(クリミア半島などウクライナの問題で)西側から制裁を受けて孤立しているため、東アジアでの地位を高めたいとするニーズがあった」と解説。〈このような情勢下で、(ロシアにとっての)朝鮮の価値が高まった〉との認識を示したのである。

 本来、ロシアと朝鮮の接近は、中国にとって面白い出来事ではないが、報道を見る限り中国側が焦りを覚えている様子もなかった。むしろ余裕をもってロ朝接近を見ているようでもあったのは、実は中国は、北朝鮮がロシアに親書を送るより1年半ほど前、同じように金正恩からの親書を携えた崔竜海を迎えていたからだ。親書の中身はもちろん金正恩が訪中し習近平国家主席と首脳会談を行いたいというものだった。しかし中国はこの北朝鮮からの申し出を受けなかったのだ。

朝鮮半島の非核化で
アメリカと中国は連携している

 金正恩の訪中を中国が拒否した理由を中国のメディアは「北朝鮮が核放棄の姿勢を鮮明にしないこと」だとし、それまでは中国が首脳会談に応じることはないと報じている。そして、中国が北朝鮮に対し厳しい姿勢を貫いていることの裏には、朝鮮半島政策におけるアメリカとの連携があるとされるのだ。

 2014年2月17日、中国は劉振民外交部副部長を北朝鮮に派遣した。これは中朝関係を新たに構築し直すための中国側のメッセージだと位置づけられているが、実はこの直前にも米中は慌ただしく接触を繰り返しているのだ。

 劉副部長が平壌に出発する2日前、アメリカのジョン・ケリー国務長官がすべての訪中日程を終えて帰国しているのだが、このときケリー国務長官が中国を訪問した主な目的が北朝鮮問題であったといわれているのだ。事実、半月ほど前の1月28日にはグリン・デービース北朝鮮政策特別代表が北京を訪れていて、武大偉朝鮮半島事務担当特別代表及び外交部の張業遂副部長と会談している。

 武代表とデービス代表の会談後、中国は会談の主要な議題が『いかに半島非核化交渉のテーブルに(北朝鮮を)呼び戻すか』であったと発表している。こうした動きが劉の派遣に無関係とは考えられない。
 

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