2024年11月21日(木)

Wedge REPORT

2015年5月28日

 根底にあるのは、2%という物価目標達成のために日銀は当面量的緩和を継続するしかなく、国債売却方針を明らかにしたGPIFなど公的年金は外債投資を増やさざるを得ない、といった事情であるが、それ以外にも日本株に投資している海外投資家がせっかくの利益が為替損で相殺されぬようにヘッジの円売りを積極化し始めた可能性もあろう。

 ドル高は、海外で稼ぐ比率が高まっている米国企業には利益減少の要因であり、米国へのマネー還流で資本流出リスクに直面する新興国経済にも厳しい逆風となる。だが、一度走り出したドル高の動きを止めることは難しい。

サブプライム、リーマンの
トラウマにとらわれるFRB

 実際に米国経済が利上げに向けて今後好調な推移を辿るかどうかには、大きな疑問もある。同国の賃金上昇率はまだ頭打ちの状況が続いており、物価上昇率がFRBの目標値に近付いているという前兆も無い。1〜3月期に続いて4〜6月期のGDPも恐らく低水準となるだろう。雇用は確かに改善しているが、パートタイマーの多さはまだ労働市場に緩みが存在していることを示している。

 だが、FRBは引き締めが遅きに失することを恐れている。それは2007年のサブプライム・ローン問題や2008年のリーマン・ショックを防げなかったことが、トラウマになっているからだろう。従って、年内に一度は利上げしておきたいというニュアンスが消えることは無さそうだ。

 となればドル円は何処まで上昇するのか、気になるところである。当面は125円、そしていずれは128円、さらには130円といった予想値が市場に飛び交うことになるだろう。だが果たして130円といった水準が日米双方にとって受容し得るのか、という問題も出て来る。


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