世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年6月9日

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 オバマは6年も大統領をやっているが、何も学んでいない。プーチンもハメネイも、オバマのやることにうんざりしているだけで、あまり真剣には受け取っていない。自分で自分を封ずることは、相手の尊敬を招かないのである、と述べています。

出典:Josef Joffe‘The Lessons Obama Could Learn From V-E Day’(Wall Street Journal, May 10, 2015)
http://www.wsj.com/articles/the-lessons-obama-could-learn-from-v-e-day-1431299499

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 オバマ外交をほぼ見限った、手厳しい論説です。ヨッフェは特定の党派、国の利益を代表しているわけではないので、それだけオバマ政権にとってはひびきます。しかし先進諸国は、オバマ政権や米国をあからさまに見限る愚は冒すべきでなく、逆に団結を強めるべきでしょう。

 オバマ政権は、アフガニスタン・イラクからの撤兵とリーマン金融危機からの脱却、この2つを至上命題として誕生しました。この2つの命題には何とか対処していますが、その間世界で新たな紛争が続発し、対応が後手に回っているのが現状です。

 米国は、自分が直接関与していない紛争については、ほぼ常に介入をためらいます。そして、原理・原則より現実的利益を優先します。今般ケリー長官が訪露して、ウクライナを抑えてでも米露宥和を優先する構えを明らかにしたのは、後者の例です。日本にとっては、9月に予定される習近平国家主席の米国訪問の頃、米国が中国に対してどのような姿勢を取るかが注目点となります。

 米国外交が一貫性を欠き、国内の与野党対立の煽りを受けやすいものであることは、オバマ以後も変わりません。肝心なのはそれによって「米国主導の戦後世界の終焉」などと言ってあたふたし、自らの首を絞めるようなことはしないことです。ヨッフェがこの論説で言っているように、「米国主導の戦後世界」は日本を含めた多くの国にとって利益となっているからです。

GDPの額では、OECD諸国のシェアはかつての80%近くから60%近くに低下していますが、BRICS諸国の成長の大きな部分はOECD諸国からの投資・技術移転によって賄われています。そしてBRICS諸国は例外なく、OECD諸国以上の構造的なマイナス要因を抱えています。軍事力についても、米軍を中心にOECD諸国が有する力には相変わらず圧倒的なものがあります。

 従って、OECD諸国のうち政権が安定している諸国が中心となって、腰の据わった情勢観、世界開発・安定戦略を発信していくことが必要でしょう。来年、日本はG7(8?)先進国首脳会議の議長国であり、重要な役割を担うことになります。G20首脳会議の2016年議長国が中国であるため、何かと対比されるでしょうが、中国の札束外交に対抗することに汲々とするのではなく、途上国の安定と開発、先進国の安定と福祉の維持のために大所高所からのメッセージをG7(8?)として発出する準備を今から開始するべきではないでしょうか。

  
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