2024年12月2日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年5月1日

 3月25日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙社説が、南シナ海での中国の行動を抑制するため、米国はこれ以上の時間を空費しないで具体的行動を取るべきである、と主張しています。

 すなわち、中国は南シナ海の係争水域で人工島を建設し軍事基地を築いているが、これは戦争のリスクを高めるものであるにも拘わらず、米国はそれに対処する戦略を持っていない。米国や同盟国は、この広大な地域を、法的根拠も持たない中国に与えるつもりだろうか。

 ジョンソン礁は今や25エーカーの土地になっており、近くのヒューズ礁には桟橋とセメント工場がつくられ、ガヴェン礁にはヘリパッド等が建設されている。ファイアリー・クロス礁には3000メートルの滑走路が建設中のようだ。

 3月19日には、マケイン上院軍事委員長など超党派議員が国防、国務長官に共同書簡を送り、中国の行動を看過しないよう求めた。米行政府は、中国にやんわり申し入れる以上のことはほとんどしていない。上記書簡は、行政府が具体的行動を取りそれを報告するよう求めているほか、関係の諜報情報を定期的に公表する、米中軍事協力を修正する、アジアの関係国との協力を強化するといったことをすべきだと述べている。

 米国が、中国の攻撃的行動にコストを課さなければ、中国による西太平洋支配を段々と許すことになってしまうだろう。

 米国は、フィリピン等が中国の脅威(軍、沿岸警備隊、民間の船舶を使用した威圧行動や軍事的展開、石油掘削施設などの経済的展開)に対処できるよう、これらの国の要員訓練を始めるべきだ。また、米は、比、日本等の有志国とともに海域の共同パトロールを行うことも考えられる。ASEANを通じて何かをしようとするのはおそらく徒労に終わるだろう。

 2016年のパシフィック・リム海上演習に台湾の参加を求めることもできよう(中国は既に2014年から招請されている)。さらにそろそろ台湾へのF16供与を決断すべきだし、2001年に約束済みの潜水艦の配備についても支援すべきだ。


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