伸びる人は5W2Hを押さえている
身のまわりでも、このようなことは日常的に起きている。あれもいい、これもいいなどという話は誰でもできる。それは頭の中だけでできるからである。現実に生きるということは、いくつかの可能性の中から一つだけを選択することである。また、選択とはそれを自分が行うということを意味している。誰が、いつ、どこで、何をといったことを忘れた会議というものは、時間の無駄遣いである。伸びるビジネスマンであるには、最後のまとめをしなければならない。5W1Hといわれる、いつ(when)・どこで(where)・誰が(who)・なぜ(why)・何を(what)・どんな方法で(how)を決めなければならない。これが常朝のいう枝葉である。
さらに付け加えれば、いくら(how much)かけてやるか、ということである。いろいろな団体、機関などに提言というのがある。それをよくみると、誰がいくらかけてやるかはほとんど欠けている。だいたいが行政まかせである。一方で民間を褒めちぎりながら、最後は行政に依存する。さらに一方で行政の独善を批判しながら、最後は行政を頼りにする。つまり、行政はダメだ、といいながら行政の権威を高めているのだ。
すべてがそうだとはいわないが、多くの環境保護団体や福祉団体、NPOなどは、行政に文句をいいながら行政からの補助金をあてにしている。極言すれば、一種のたかり屋である。行政といえども、元は税金で成り立っている。その分けぶんにありつこうという魂胆がみえみえである。これを堕落というのであるが、そのことに気がつく人は少ない。これが末法の世の姿である。
5W2Hの欠けた会議は、無責任のオンパレードである。時間の無駄遣いである。枝葉を語れば必ずWHに行き着くはずだ。『葉隠』はその意味で、極めて具体的であり、実践性に富んでいるのだ。理屈三昧の評論家や学者との違いはここにある。
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