世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年6月26日

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 米国は広く同盟国や友邦国に対し、中国が当該地域を力により一方的に支配することを許さないとの強い立場を明確に示すべきである。今まで米国の軍事力優位が中国の行動を抑止してきたが、増強する中国の軍事力に対して、これからも軍事力の優位を維持していかなければならない。特に中国のA2/AD戦略に対応するための空軍、海軍力が必要となる。同盟国などに対する侵略には断固介入することが必要だ。南シナ海の現下の紛争は地域問題だが、世界的な重要性を持っている。アジア太平洋の問題が制御不能にならないように引き続き米国の指導力と軍事的優位の維持が必要だ、と論じています。

出 典:J. Randy Forbes‘How America Should Respond to China's Moves in the South China Sea’(National Interest, May 26, 2015)
http://nationalinterest.org/feature/how-america-should-respond-chinas-moves-the-south-china-sea-12969

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 上記論説は、バランスの取れた、力強い、良い論評です。著者のフォーブスは、米下院議員で、軍事委員会海軍力・展開部隊小委委員長を務めるほか、議会中国コーカスの共同会長でもあります。南シナ海の関係海域に米艦船や航空機を派遣すべきだと主張しています。同時に、事態がエスカレートしないように如何に軍事力を適用するか注意深く検討すべきと言うことも忘れません。そして、「南シナ海の現下の紛争は地域問題だが、世界的な重要性を持っている。」というのは、フォーブス議員の言う通りでしょう。

 5月26日に発表された中国国防白書にも、海軍重視の姿勢がみられ、拡張主義の傾向が強く、懸念されます。

 中国がこちら側の意図を誤解しないようにすることが大事だとの点はその通りだと思います。中国は常に厳しく相手の意図を評価しているのではないでしょうか。更に、言ったことはきちっとやることが国際政治では重要で、それによって相互の信頼性を高めます。

 それにしても、習近平下の中国の大国化路線は、平和的台頭等といった言葉とは全く裏腹に、力に基づく古い大国化モデルではないかと思えてなりません。平和的台頭を標榜し、新興国の旗手を自認し、新しく大国になると言うのであれば、それに相応しい新しい大国化モデルを打ち出して欲しいと思います。それこそが「特色ある大国」路線になると思うのですが。

  
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