桐生知憲の第四社会面

2015年7月1日

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 こうした行動を取るかたわら少年は、14日から15日にかけて、浅草の三社祭について「祭り行きますから。撮影禁止なんて書いてないからね。祭りは無礼講ですよ」と自身が語る様子を動画共有サイトに配信する。これが祭りの主催者にドローンの持ち込みや飛行を禁止する張り紙を作らせたり、警備を強化させたりして業務を妨害したと警視庁に認定されてしまい、官邸ドローン事件と同じ威力業務妨害容疑で5月21日の未明に逮捕されたのだった。

 まったく業務を妨害していないとは言えないかもしれないが、人殺しなどの重大犯罪でもないのに15歳の少年を軽々しく逮捕してもいいものだろうか。再三の注意を無視したとの報道もあるが、しょせんは15歳である。

 一時は都内の名門私立中学校に通う頭脳があり、24時間態勢で見張っていた警察官の尾行を振り切った“実績”もあるが、果たしてそこまでという感じがする。警視庁の建物内では「これで少年が更生してくれたらいい」との会話も聞かれたが、前科者にされることで周囲の見る目が変わってしまうことを警察だけではなく、少年の逮捕を望んだ人たちは知るべきだろう。

ドローン対策がやりやすくなったとほくそ笑む警察

 しかも、ドローンの飛行自体を取り締まる法律がない中で、威力業務妨害という口実=いいがかりを作ってまで公権力を行使することの意味を考えてもらいたい。

 こうした事件を受けて、衆議院にはドローンを国の重要施設などの上空を無断で飛行させた場合、1年以下の懲役を科すなどとした規制法案が提出され、審議が続いている(6月30日現在)。

 来年5月には主要国首脳会議のサミットが三重県志摩市で開かれる。5年後の2020年には東京でオリンピックとパラリンピックが開催される。イスラム過激派のテロが日本も他人事ではなくなっている状況も加味すると、テロ対策が強化されることは間違いない。その結果、権力側がささいな口実=いいがかりをつけて、善良な市民を犯罪予備軍のように仕立て上げるといううすら寒い社会がやってくる可能性は十分ありえる。

 最後に、今回の事件で一番の口実を見つけたのは警察当局だ。ある幹部は、「いろいろ批判されたが、これでドローンの対策がやりやすくなった」とほくそ笑んでいた。

 

  
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