世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年7月29日

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 5)インドは永らく地域外の主要国との協力に及び腰であったが、最近のオバマの訪印が示すように、米国の地域での役割を受け入れる方に舵を切った。と同時に、モディは中国への門戸も開いている。米国へ開けた態度をとることで、中国に対する戦略的交渉の立場が強まるかもしれない。

 モディのインドは、インド洋の安全確保、ならびに集団的安全保障と経済統合のための地域機構の推進で、積極的役割を果たすことにもはや躊躇しない、しかしモディの構想はインドのインド洋戦略の活性化への第一歩にすぎない、その実施に当たり、インドは多くの問題に遭遇するだろう、と指摘しています。

出典:C. Raja Mohan,‘Revealed: India's Master Plan for the Indian Ocean’(National Interest, June 26, 2015)
http://www.nationalinterest.org/blog/the-buzz/revealed-indias-master-plan-the-indian-ocean-13198

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 モディ首相がインド洋の安全保障につき、積極的な役割を果たす姿勢を明らかにしたことは歓迎すべきことです。本来インドがインド洋の安全確保につき関心を持つのは当然ですが、ここにきて積極的に関与する政策を打ち出しているのは、中国の影響力の増大を念頭に置いてのことであると考えて間違いないでしょう。インドは中国を封じ込める政策はとらないでしょうが、他方、中国が「一帯一路」構想などでインド洋に対する影響力を増大することも放置はできないでしょう。

 論説はインドのインド洋島嶼諸国に対する関与を中心に論じていますが、インドが中国を念頭にインド洋関与を積極化しようとすれば、島嶼諸国だけでは不十分です。中国の「真珠の首飾り」構想には、島嶼諸国のほかに、ミャンマー、マレーシア、バングラデシュ、スリランカ、パキスタンが入っています。パキスタンはインドのライバルですから、これを除くとしても、インドはこれら諸国もインド洋の安全確保構想に加え、ミャンマー、マレーシア、バングラデシュ、スリランカの諸国との二国間、あるいは多国間の関与を進める必要があるでしょう。今年も日本は米印主催のマラバール演習に参加しましたが、例えば、マラバール演習をインド洋の安全を確保するための、上記諸国も含めた多国間のプラットフォームに育て上げるといったことが考えられます。日本としてもインド洋の海洋安全保障に積極的に協力していく必要があります。

  
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