日本水産 インタビュー
「産卵期クロマグロの禁漁が必要ならばそれに従う」
日本水産の小池邦彦代表取締役専務執行役員、前橋知之執行役員がクロマグロの巻き網漁業についての取材に応じた。
─産卵期にクロマグロを漁獲する理由は。
日本水産:地域ごと、漁法ごとに魚が漁獲できる時期というものがあり、日本海で巻き網を使って漁をする場合、6~7月の産卵期となる。この時期以外は漁獲しづらい。
─クロマグロが減少しているという実感はあるか。
日本水産:資源レベルが低位にあることは認識しているが、「絶滅危惧種2類」かというと、そこまでいっているのかなという思いも一方ではある。
─資源が減少した要因としては、環境要因が大きいと感じているか。
日本水産:自然環境が変化している、ということは感じている。今の漁獲量が、過剰かどうかはわからない。日本は管理が行き届いているほうだと思っている。海外の管理はどうなんだろうという思いもある。
─ホームページで「資源の持続的な利用」について、声明を出しているが、現時点でクロマグロを持続的に利用する取り組みをしているという認識か。
日本水産:水産庁やISC、WCPFCなどの国際機関の出した科学的な根拠に基づいて、合理的に利用しているという認識をもっている。
─NGOとも意見交換を行っている旨の記載がホームページにあったが、具体的にはどのNGOと意見交換を行っているのか。
日本水産:WWF(世界自然保護基金)、MSC(海洋管理協議会)、ASC(水産養殖管理協議会)など。海外子会社はその地域のNGOなどと意見交換をしている。
─クロマグロを持続的に利用するにあたって、現在行っている取り組みは。
日本水産:関係子会社が、山陰漁業協同組合を通じて、漁獲量を自主規制している。
─日本水産から子会社の共和水産に対して、自主規制枠を設定すべき、もしくは削減すべきといった要望を出しているのか。
日本水産:していない。あくまで業者間で自主的に行っている。
─産卵期における共和水産の漁獲量は。
日本水産:公表していない。
─産卵期の巻き網操業を止めてくれという要望が沿岸漁業者などから出ているが、話し合う気はあるか。
日本水産:個別に沿岸漁業者と話すというよりは、水産庁主催の会議など、オフィシャルな場で全体像を見つつ話し合うべきだと思っている。個別の部分だけをみても資源の維持には繋がらない。
─日本水産に対してデモや不買運動が発生している。
日本水産:当社としては科学的根拠に基づいて、資源を合理的に有効利用したいと考えている。守るべきルールの中で仕事をしている。違反はしていない。デモや不買運動については、正直、困惑しているが、静観するしかないと考えている。科学者に様々な意見があるのは承知している。私どもは科学者ではないので、公の科学的な根拠に基づいた指針に従わざるを得ない。そのなかで、「産卵期は禁漁にすべき」という指針が出れば、当然それには従う。
─グループ会社を含めて、日本水産に水産庁のOBは何人いるのか。
日本水産:本体の顧問に1人いる。