「つながった」――テレ朝「刑事七人」(水曜日夜9時放映)の主役である天樹悠(東山紀之)がつぶやく。事件のさまざまな断片が一気につながって、真犯人がみえた瞬間である。
遺失物係として10年間過ごした、天樹が警視庁捜査一課12係に赴任してくる。係長は片桐正敏(吉田鋼太郎)である。この係に配属になった刑事の多くが辞めていくことから、「墓場」と警察内部で呼ばれている。
7人の刑事といえば、1960年代前半と70年代後半にTBSが放映した「七人の刑事」シリーズがある。男性のスキャットではじまる重厚なイメージと、ふたつのシリーズで主役のベテラン刑事役を演じた、芦田伸介の印象が強い。
本家のTBSは「警視庁南平班~七人の刑事~」を月曜ゴールデンの帯で2時間ドラマを放映している。シリーズは8月3日放映で、8回目を迎えた。
主人公で捜査班を率いるのは、南部平蔵(通称・南平、村上弘明)である。「7人の刑事」のサブタイトルをつけているが、かつてのシリーズとの連続性はない。
共通点は「理想の上司」
いうまでもないことだが、7人の刑事のドラマを創造する刺激となったのは、黒澤明監督の「七人の侍」(1954年公開)であるのは間違いない。この映画の影響力は大きくのちに、リメークされて米国映画の「荒野の七人」となった。
組織というものは、トップの下に部下ふたりがついて三角形を構成して、ふたりの部下のしたにラインを作るのが強い。トップの下にふたつのラインで、かつそれぞれが3人ならちょうど7人になる。任務によって、ラインの数を増やしていけばよい。
「七人の侍」で侍たちを率い、農民たちと野武士と戦うリーダーである、島田官兵衛(志村喬)は、戦略を立てて敵にあたる。臨機応変にときに自分が前線に立って、戦いを進める。冷静沈着であるが人情にも厚い。
天樹(東山紀之)の上司である、係長の片桐(吉田鋼太郎)にも、南平班を率いる南部(村上弘明)にも、島田官兵衛(志村喬)の面影がある。