「日本のオジサンの働き方改革のキモは『副業』ですよ」
こう言い切るのは、ある大手情報通信企業に勤めるAさん(41歳)だ。
「ワークライフバランスとか残業削減とか在宅勤務とか、企業がいろんな取り組みしてるって記事見ますけど、要は勤務時間、残業時間を減らして余計な人件費払いたくないってことでしょ?」
Aさんには、大企業の矛盾は極限に達しているように見えるという。
iStock
大企業にはどこでも”オジサン”が大量に余っている
「大企業はどこも、ポストが足りなくて、意欲を失った“働かないオジサン”が大量に余ってます。かといって日本ではクビは切れない。出世というエサもなく、出世以外のモチベーション維持施策もない。そんな状況で社員たちを腐らせてどうするのか」
「もう昔のように処遇できない。成果出さない人にはポストも金もあげられない。それをはっきり明示して、その代わりに副業を推奨したらいいんですよ」
この企業では、バブル採用期を中心に、管理職世代の人間があふれかえっており、××代理、△△リーダーなどなど権限のないポストをやたら増やしているがそれでも処遇しきれず、上が詰まった30~40代の滞留が激しいという。
「入社した時は社長を目指していた」と言うAさんの意識を大きく変えたのは、脂がのっていた30歳のころの人事評価だ。システム営業で抜群の成績を挙げたAさんは、夏と冬、ボーナスでどちらもA評価を受け、社長表彰までされた。たが、ベースとなる人事考課がC評価だったという。
上司から言われたのは「調整だから」。やれ成果主義だ、業務管理制度だ、とバブル崩壊後の大企業は、制度改革には熱心だったが、肝心の「正当な評価」など、する気もない。