クレタ島 2014.4.20~4.30
瓦礫の古代遺産よりも今に咲く花
4月22日午前、ガイドブックではクレタ島で「一押し」の世界遺産クノッソス宮殿を見学。観光客が騒がしく、かつ蒸し暑い。宮殿は教科書や雑誌で見た印象どおりで目新しい発見もなく瓦礫をつなぎあわせて修復した壁画をみても退屈であったが、それでも10ユーロの入場料の元を取らねばと懸命に歩き回った。
疲労困憊して帰りのバス停に行くと、ちょうどバスが発車したばかり。時刻表を見るとバスは30分毎に発車するようだ。愕然とバス停の日陰のベンチにゆくと、やはり乗り遅れたらしい先客が一人ぽつんと。
ぱっとこちらをむいた瞬間に目が合い心臓がドキン、心拍数急上昇。かなりの美人である。聞けばイタリア人であり、休暇でギリシアを一人旅しているとのこと。大学の心理学科を卒業し、昨年からローマのクリニックで心理カウンセラーのインターンをしており、数年したら正式に資格を取得できるとのこと。
彼女は【美人で聡明で愛嬌がある】というオジサンにとり垂涎の三条件を完備しており一気にテンションがあがる。ここぞとばかりに勉強を始めたばかりのイタリア語でカタコトを連発すると、丁寧に正しい発音に矯正してくれる。なんという至福の時間であろうか。
バスが30分後に来ることが恨めしく、パンクでもして遅れることを心から祈った。こういう時に限ってバスは正確に到着するものである。バスのなかでもおしゃべりに夢中になるあまり、降りるべきバス停を通り越してしまった。
午後はイラクリオン市内にあるはずの「対ドイツ抵抗運動歴史博物館」を探して歩いた。昨今ギリシアの対外債務問題を巡りドイツとギリシアの対立が第二次世界大戦にまで遡って歴史的因縁が取り沙汰されている。ギリシアは執拗かつ頑強にナチス・ドイツに抵抗した。ドイツにとり地中海の制海権を確保するためにクレタ島は要衝であったという。
所在を確認すべく近隣にあった会社の事務所のような建物に入ると、すごい美人が一人で留守番をしており再び心拍数急上昇。隣にあった博物館は既に閉鎖されたとのこと。「やはり70年も昔の抵抗運動は一般の観光客には興味がないのでしょう」と彼女は残念そうに言った。以前、サンクトペテルブルグに出張した際に訪れた『レニングラード攻防戦記念館』も訪問者が少なく維持が難しくなっていたと私は続けた。