大型のクルーズ船に乗って1、2週間旅をするクルーズ観光が人気を集めている。その火つけ役になっているのが米国、イタリアなど外国船籍のクルーズ船各社で、今年から日本を含むアジアに10万㌧を超す大型船の就航を増やす。日本政府はクルーズ船の寄港は地域の活性化に役立つとして、寄港を受け入れるための環境整備を加速化させ、2020年に「クルーズ100万人時代」の実現を目指す。
クルーズ船ビジネスはこれまでは、欧州の観光客を相手の地中海と、欧米客が多いカリブ海が大きなマーケットだったが、欧州経済の停滞の影響で地中海のクルーズが伸び悩む傾向を見せている。その一方で、中国人を中心にアジアのクルーズ客が伸びており、外国籍クルーズ会社によるアジアマーケットの争奪戦が起きている。
大攻勢をかけてきている外国船籍のクルーズ船
日本籍のクルーズ船では日本郵船グループが「飛鳥Ⅱ」、商船三井が「にっぽん丸」などを運航させているが、利用者数はほぼよこばい。
大攻勢をかけてきているのが、外国船籍のクルーズ船で、米国の世界最大のクルーズ会社のロイヤル・カリビアン・インターナショナル(RCI)は23隻のクルーズ船を就航させ、カリブ海、地中海を中心に運航してきた。2014年までは日本を含むアジア発着には2隻のクルーズ船を振り向けてきたが、15年からは4隻、16年からは5隻を運航させる計画だ。
14年10月に就航した最大クラスの「クァンタム・オブ・ザ・シーズ」(16万7800㌧、4180人乗り)は今年6月に博多港に寄港、大にぎわいだった。来年就航する16万㌧の次世代クルーズ船「オベーション・オブ・ザ・シーズ」(4100人乗り)は初航海から天津を母港にしたアジアツアーに配船することを決めた。
RCIに次ぐ米国籍のプリンセス・クルーズは18隻を就航させている。今年まではアジア発着で2隻を運航してきたが、来年からは3隻体制に増強する。さらにイタリア船籍のコスタ・クルーズは、昨年まで2隻だったが、今年は3隻、来年は4隻にまで増やすとしている。