2022年10月6日(木)

対談

2015年9月27日

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久松 もちろんです。しっかり採算性を計算しておいて、その自社生産に切り替えるタイミングが来たら建てればいいのだけど、いきなり建てちゃう。しかも作ったものを自分たちで売る努力をしない。3000個とか5000個なんて、手売りだけでも売れちゃうでしょう。

木下 3000個が売りさばけないなんてことは100%ないですよね。僕だって自分の本は3000部くらいは手売りで売っていますから。

久松 そうそう、僕だって自分の本は千の単位で売っているのに、出版社は……いや、この話はもうやめよう(笑)。

木下 それは別の話ということで(笑)。3000個が売れないというのは、売れないんじゃなくて実際には売っていないんですよね。いい場所にいい商品を置いておけば自然と売れる、なんていうのは幻想でしかない。「東京に出せば売れる」も大きな勘違いで、強力な競合がひしめく中であなたの商品を手に取る理由がどこにあるんですか? という話なんですよね。自分のところで、自分の手で売れないものを、東京の他人に預けるだけで自動的に売れるということはないんですよね。

久松 まず友だちや親戚に売るだけでも相当な数になるんじゃないの、って思いますよね。

木下 そうなんですよ、友だちや知り合いに売らないで、あげちゃったりしますよね。友だちにも売れないものを、不特定多数にどうやって売るんですか? と。

久松 まして、マスに対して宣伝費を投下すれば必ず売れるわけじゃないというのは大手ほど気づいていて、コカ・コーラやネスカフェまでアンバサダーマーケティング(SNSなどを活用した、無償の紹介者による販促手法のこと)に真剣に取り組んでいるわけじゃないですか。横のつながりに地道に売っていくだけでもけっこう食べていける、というのはポジティブにとらえるべきですよね。

積み上げることのリアリズム

久松 農業なんかまさにそれで、久松農園の場合は昨年の青果の売上が3000万円くらいなんですよ。客単価3000円のものを250件の固定客に販売して、飲食店には単価5000円のものを50店に売る、その繰り返しをするだけです。もちろんここまでするには大変だったけど、手の届かない数字ではまったくない。どう考えたってマスへの戦略で同じ売上を上げるよりも、ある種の人たちには効率の良いモデルだと思っているんですよね。それはITも含めた裏側の仕組みを全部見せて、体験してもらわないと、なかなか実感できないことなんですけど。

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