2022年9月28日(水)

対談

2015年9月27日

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木下 最大の理由は「うまく経営しよう」という議論をそもそもしていないことですね。役所の場合は手元にある予算を「一年間でどう使うか」をみんなで考えるだけなので、投入した財よりもそれによって地域内で生み出された財を大きくしようなどと考えることは、まずありません。それは地域活性化という、経済的目標に向けた政策であっても、です。

 人口規模と産業力をベースに長期財政計画を立てて、10年間の収入見込みがある程度わかったら、それに合わせて年間の支出をコントロールする。開発費だけでなく維持費も含めてプラスにするにはどうするか、民間ならば当然そこまで考えるのに、公共ではそうならない。地方議会ではまだまだ単年度予算の議論が中心で、中長期の経営計画は議題の中心にはなっていません。これでは何をやっても持ち出しにしかならず、しかも税収とバランスしていないので、収支バランスは崩れたまま悪化する一方です。

 ただこれは行政だけではなく、まちづくりに関わる人たち全般に足りない思考でもあります。活性化事業で「利益を出す」ことはきわめてシンプルで、収入から残すべき利益をまず差し引いて、経費に使える額を計算する。その範囲でしか経費は使わない、これを徹底するだけなんですが、みんなこれができない。事業計画書を書く時にまず経費の積算をする人が多いのですが、このタイプの人は必要だと思うものを何でもかんでも積み上げていくから、経費ばかり大きくなるけど見合った収入は作れず、結局は利益を出せないんです。それで「補助金がないと何もできない」とか言い出す。それはお金の問題ではなく、仕掛け方、経費管理の問題です。つまり経営の問題なんです。

久松 地方や役人に限らないんでしょうけどね。雇用者であれ被雇用者であれ、経営マインドがないと生きていけない時代になりつつあることは間違いないですね。

木下 はい。投じたものよりも大きなものが返ってくればこそ、社会的弱者の方々をしっかりと医療や福祉で支えていくこともできる。明日は我が身でいつ支えられる側に回るかわからないからこそ、いまは働き、納税する。地域も社会全体も、そういうシンプルな仕組みで経営されていくモデルなんです。でも自治体での議論は、歳出の話ばかりになってしまうんですよね。

久松 企業経営にたとえれば、黙っていても売上げが伸びる時代が続いたからですよね。上がらなくなって久しいですけどね。

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