「一緒に住みたい」願望の高まるとき
「シェアハウスというとどうしても、住人同士が仲良くイベントをしたり、ドラマみたいに恋したりというイメージがあるじゃないですか。でも自分は、それは嫌だな、と。みんなで盛り上がりたいわけじゃなかったし、社交的なタイプでもない。だから、既存の物件に入るのではなく、自分で人を募集して、自分の好きな“距離感”を一から作りたいと思いました」
画像:iStock
決意したのは、震災の年。ツイッターで入居者を募ると、すぐに全室が埋まった。
「誰かと一緒にいたい、一人で生活するのは不安……という願望が高まっていたときだったんでしょうね。タイミングも良かったと思います」
当時、彼は26歳。会社を辞めて半年が過ぎ、貯金は半減していた。
シェアハウスの“形態”
小野塚さんの話を続ける前に、シェアハウスの形態や現状について見ておこう。
ひとくちにシェアハウスと言っても、いくつかのスタイルがある。
大きく分類すると、4つ。
1つは、「もともと知っている者同士が2~3人で部屋を借り、家賃を分担するケース」。ルームシェアと呼ばれることが多い。先ごろ芥川賞を受賞したピースの又吉直樹さんや、今、若者に人気の高い芸人ピスタチオの一人も仲間でルームシェアをしていると聞く。
2つ目は、不動産屋がシェアハウス専用に住まいを用意して、入居者を募集するケース。6畳程度の同じサイズの部屋が複数と、キッチン等の共同スペースがついている。
入居者は元々の知り合いの場合もあれば、見ず知らず同士のこともある。学生や社会人になりたての若い人が利用するケースが多い。