大型物件も業界に進出
3つ目は、もう少し大きめの物件で、マンションや一軒家を数人~10人程度で住めるように改造し、大家さんや不動産屋が入居者を募集するケース。「シェアハウスを運営したい個人」が物件を借り、同時に住み手も募集して、家賃を回収する場合もある。
4つ目は、社員寮やホテルなどとして建てられた大型物件を、業者が貸し出すというケース。大きいところでは百人規模の物件もあり、共用スペースにはカフェやノマド用のPCスペース、シアターなどを併設することもある。
どのケースでも、家賃は数万円程度。個室がある場合がほとんどで、お風呂やキッチンのほか、冷蔵庫などの家電もたいていは共有だ。
また、大型のシェアハウスでは、共用スペースの管理を業者に委託して、掃除や生活雑貨の交換を任せているところもある。
20代を中心に浸透中
便利な場所にリーズナブルに住めるうえ、冷蔵庫などの高くて処分に困りそうな家電を買う必要もなく、一人でいたいときは個室にいて、誰かといたいときは居間に……と使い分けができるこうした“住み方”は、20代を中心に躊躇なく受け入れられていると感じる。
いや、金銭的な理由だけではない。
先にあげた芸人さんたちは、それなりの収入を得ていたり、親が富豪だったりして、「お金には困っていない」と何かで読んだ。つまり、シェアハウスは家賃を低くしたいという理由からだけで選ばれているわけではなさそうだ。
では、シェアハウスのつながりは、どんな絆になりうるのだろうか――?
小野塚さんに聞いてみた。
金銭以外の理由とは?
「小野塚さんから見て、シェアハウスのつながりは、どういうものになりうると思いますか? ずっと続く関係と言うか、家族みたいな関係になりうると思いますか?」
すると、彼は考え込むようにして、
「ずっと続くかどうかは、わかりません。自分の場合は、出たくなったらいつでも出られるように、自分ひとりが代表するのではなく、“全員で契約する”形をとりましたから」
彼は、大家さんと契約するときに、全員の名前で契約をし、それぞれの家賃は均等割りにした(正確に言うと、部屋の広さによって分担額は異なるが、彼が一軒家分を払って、ほかの人に貸すスタイルは取らなかった)。それは、抜けたくなったら、「いつでも抜けられるようにするため」だった。
「そのあとの“家族みたいな”というのは、どういう意味でしょうか?」と聞かれたので、
「そうですねー。金銭に左右されないと言いますか、お金が無いときでも助け合える関係って、どうやったら作れるのかなと思いまして」と思案しながら答えると、
「うーん、自分はあらゆる関係は “利害”で成り立っていると思いますが」
と、強い口調で返された。
「……え?」
意外な話の展開に、私は目を見開いた。
⇒第4回後編(10月5日配信予定)に続く。
*プライバシー保護のため、個人に関する事実については一部内容を変更しています。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。