2024年7月18日(木)

WEDGE REPORT

2015年10月29日

トランプ VS ブッシュ 感情的になる非難の応酬

 しかしそれで収まるトランプ氏ではない。「9・11の後米国は安全になった、と言うが、イラクに派兵し戦争を起こす、という間違いを犯した」と再びやり返し、2人の舌戦は全米の注目の的となった。

 ブッシュ氏は「トランプ氏は自らのテレビショー、『アプレンティス』のような感覚で大統領になろうとしている。彼のような人物に、核兵器の攻撃スイッチを握らせるべきではない」と発言、さらにトランプ氏の外交音痴ぶりについても痛烈に批判した。

 この批判にはトランプ氏は余裕の表情で「自分の兄の弁護に必死になるよりも、現状不利な自分の選挙にもっと注力すべきだね」とツイッター。

 この戦い、どう見てもブッシュ氏にとって不利なものだ。トランプ氏は発言に「政治家としての配慮」というものがない。しかも武器としてツイッターなどのソーシャルメディアを使うことに長けている。ブッシュ氏も負けずにツイッターでトランプ非難を流したが、ブッシュ氏がツイッターで一言つぶやく間にトランプ氏は十も二十も発言を流す。

 対立候補に毒舌を浴びせるのはトランプ氏の常套手段だが、これまで攻撃対象となった相手はいずれも「大人の対応」をしてきた。例えばリンジー・グラハム上院議員には「彼は今まで選挙のたびに私に資金を要請してきた。彼は物乞いか何かか?」と言い、グラハム氏の携帯番号を公表。これに対しグラハム氏は「正しい携帯電話の壊し方」と銘打って自分の携帯電話をハンマーで壊すパフォーマンスを見せた。カーリー・フィオリーナ氏には「あんな顔をした女に誰が投票する?」と発言したが、フィオリーナ氏は「全米の女性がトランプ氏の発言をしかと聞いたはず」と真っ向からトランプ氏に反論し、その口を封じた。

 これらの反応に対し、ブッシュ氏は兄の名誉を守る気持ちからか、いささか感情的になりすぎている節がある。まさにトランプ氏の思う壺にはまっている、といったところだろうか。

 今回の攻撃について、「支持率5位に落ちたブッシュ氏の息の根を止める作戦」という見方がある。しかしながら共和党内では元大統領批判は一種のタブーでもあり、トランプ氏にとっても諸刃の剣となりかねない。

 この2人の戦いで、実は「漁夫の利」を得るのは現在3位のマルコ・ルビオ氏なのでは、という意見も浮上してきた。ヒスパニック系で、フロリダ州上院議員。元フロリダ州知事で夫人がメキシコ人であるジェブ・ブッシュ氏とは支持層が被る。今回ブッシュ氏がさらに後退、トランプ氏も毒舌が過ぎて共和党主流から嫌われると、俄然注目を浴びる存在になるのでは、という見方だ。

 いずれにせよトランプ旋風はまだまだ健在で、共和党候補者指名のキーパーソンであることに変わりはない。

  
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