シェールオイル、ガスは米国が世界で最も埋蔵量が多く、フラッキングと呼ばれる掘削手法が確立されて以来、2000年から2010年までで米国内のシェールオイル、ガス生産量は14倍にも膨らんだ。
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特に生産量の多いテキサス、ノースダコタ両州はシェールブームに沸き、雇用の創出、人口の流入など様々な恩恵を受けている。
しかし現在、米国のシェールオイル、ガス業界は大きな問題に直面している。
最大の問題は、米国のシェールオイル生産の増大に伴い、世界の石油供給マップに変化が生じたこと。これまで世界の石油供給の鍵を握ってきたOPEC諸国が原油生産をこれまでのペースで行うことにより、原油価格は大幅に下落した。一時は1バレル当り90ドル近くまで高騰した価格が、2015年10月14日現在では48.97ドルとなっている。
これに伴い、倍々の勢いで発展してきた米国内のシェールオイルも、今年に入ってからは9カ月連続の減産となっている。この傾向は減産により世界の原油価格が再浮上するまで続く、おそらく来年中頃までは微減となる、と業界アナリストは予測している。
さらに、米国のシェールオイル生産業者を悩ませているのが、輸送の問題だ。
現時点で生産された原油の多くが貨物列車輸送となっているが、2013年以降米国内(一部米国からの輸送を行うカナダ国内を含む)ではこの原油輸送中の事故が多発している。今年7月までの事故総数は31件に上り、うち20件で列車横転などによる原油流出、火災事故につながっているのだ。