サムライ弁護士の一刀両断

2015年11月25日

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 ミャンマーでの物流は未発達で、郵便事情もかなり悪い。通常の郵便を使う以上、まともに到着することは期待しないほうが良い。筆者も、家族が日本から送った郵便はどこかで消えてしまい、2カ月たった今でも到着しない。おそらく到着することはないだろう。そのような郵便事情であるため、投票用紙が郵送されることはなく、郵便での投票の告知もない。テレビや掲示などで確認できる選挙権者名簿に載った時点で、地区の管理事務所に政府から発行されているIDを持って選挙前に投票用紙を受け取る。当日は、そのIDと投票用紙を持って投票所に行って、投票する。

 郵便での告知がない以上、各人の投票所がどこかという郵便での告知もない。テレビ放送や街中を走る車の選挙告知を聞いて、各人の投票所がどこかを確認する。投票所は、日本のように、多くの場合は学校などが利用されており、その他宗教施設なども利用されていたようである。なお、ミャンマーでは、八曜に基づく占いが好まれるが、それが今回の選挙に与えた影響は特に無いようである。八曜とは、水曜日を午前と午後で分け、日曜日から土曜日までの七日間を八つに分類して運勢等を占うというものである。ミャンマー人の多くは、生まれた日の八曜にあわせて、名前の一部に八曜を表す名を持っている。

政権交代は来年の3月

 冒頭でも述べたとおり、選挙管理委員会は、今回の選挙でアウン・サン・スー・チー氏率いるNLDが総議席数の過半数を獲得した旨を既に発表している。また、日本のように正確な数字を伝えるものではないようだが、ミャンマーでも選挙速報のような報道があったようである。ただ、誤報や虚報も多く流れていたようで、Facebook上では、ミャンマー人の同僚や友人たちが誤報や虚報に対して注意喚起を促す書き込みが、多数見られた。

 ミャンマー在住の外国人の間では、選挙後に暴動や混乱などが起こる可能性が懸念されたが、現在のところ、そのような混乱は特に起こっていない。しかし、まだ選挙結果の正式な最終発表はなされていないし、また政権交代も来年3月であり、注視は必要だろう。ミャンマーは、少数民族問題や宗教対立などを抱える国家である。あちらを立てればこちらが立たずであり、選挙前の遊説などでは、アウン・サン・スー・チー氏も、苦労していたようである。

 USDPは、表向きには民族や宗教の融和を説くが、実質的には仏教徒のビルマ族を優遇してきた。アウン・サン・スー・チー氏率いるNLDは少数民族や非仏教徒に配慮した発言を行ってきたが、それが過激派のビルマ族や仏教徒などからの批判の的とされてきた。そこで、そうした批判を考慮して、曖昧な発言を行うことで、今度は逆に少数民族から批判されることとなる。それでも蓋を開けてみればNLDの大勝となったわけであり、民主的政権を望む声がいかに強かったかが分かる。

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