シャープ「COCOROBO(ココロボ)」
ルンバと最も対極にあるロボット掃除機、それが「COCOROBO」です。ルンバの開発者に「ロボット」とはと聞いた所、「「ロボット」とは人間の省力化のデバイスのことです。そしてロボットは、人間を上回ることはありません。人間の従属者です」と解答を頂き、その上で「ルンバは鉄腕アトムではありません」と念を押されました。それを前提にルンバを見ると、まさに人に仕える「黒子」の様に見えます。
COCOROBOは真逆です。シャープのカテゴリーも「ロボット家電」。「掃除機」の中に分類されていません。それはCOCOROBOが人間とのコミュニケーションを取ることができる可能性を秘めているからだと思います。
非常に面白い試みでもあるのですが、ある種のリスクもあります。例えば、10万円で販売するロボット掃除機を作るとしましょう。他社が、ナビに3万円、吸引力に3万円、その他4万円とすると、シャープはこれにCOCOROBO機能がありますので、そこにも費用が取られて行くわけです。そうするとナビ、吸引力に掛けられる費用が少なくなる。
結果、商品の性能が足らなかったり、価格が高くなったりする可能性が出てきます。ところが、実際COCOROBOを使ってみますと、よくできています。
何より面白い。そして可愛らしい。小学校低学年が、お喋りしながら頑張っている感じです。人によって好き、きらいはあると思いますが、他のロボット掃除機とはまるで違うのです。
●話をするだけでこうも違うモノか!
iRobot社のコンセプトは、言い換えますと「フロアケアを人にさせないこと」です。そしてロボットとは、「人を越えず、従属するモノ」と考えています。人間は掃除をしなくなるわけですから、人は、ルンバのことも掃除のことも忘れるのが理想というわけです。つまり、ロボット掃除機は黒子も黒子、真っ黒子。意識されてはいけないモノと言えます。
ところがシャープのCOCOROBOは違いますね。「頑張っているよ! 見ててね!」ですから、どうしても意識してしまいます。iRobot社とは、考え方が全く違うわけです。COCOROBOは、掃除を意識させるロボット掃除機なのです。なぜこんなことになったのかと言いますと、一番大きな理由は「日本だから」だと思います。