●日本らしい「ロボット!」掃除機
日本のロボットと言えば「鉄腕アトム」。心優しい、科学の子。アトムは、交通事故死した天馬博士の息子の代理として博士により作られたロボットです。ところが人間のように成長しないことに気づいた天馬博士により欠陥品と決めつけられ、サーカスに売られてしまいます。
これを冷酷な目でみると、アトムは「役に立たないロボット」と言い換えることができます。有用だと、キライでも手放しませんからね。もっと厳しい言い方をすると、人間の子供もそうですね。社会システムから見ると役に立たない。
そんな目でCOCOROBOを見直しますと、ルンバは掃除機という明確な役割があるロボットであるのに、COCOROBOは掃除機ながら、しゃべるだけにかなり曖昧さを伴います。
そんなCOCOROBOですが、使って見ると、実に心が和みます。会話という「コミュニケーション」が発生するためです。コミュニケーションにより、相手がロボットといえども気遣いが生じるからです。人との関わり合いは、コミュニケーションであり、有用だから、能力があるからではないことを認識させてくれます。日本のロボットは、ある種コミュニケーションが取れるのが前提なのです。
●コンセプトに影響する言葉
掃除性能に関してもシャープは手を抜いてはいません。日本の家の大きさを考慮した、やや小ぶりのサイズ。気になる隅のホコリを取りやすい位置に吹き飛ばす、「エア隅ブラシ」。そして進化したナビ「縦横無じんシステム」等々、機能も充分にあります。
パナソニック RULOと同じテストを繰り返し行いましたが、問題はありませんでした。が、気になる所もあります。それは「言葉」です。言葉の持つ力と言ってもイイかも知れません。例えばCOCOROBOは「助けて」という言葉を発します。これは「バッテリー残量がわずかになっている」時に発せられる言葉です。また、充電台を見つけられない時は「帰りたくても帰れない」と発声します。厳しい言い方をするとと、これは一種の甘えになる可能性があります。
iRobot社が、言葉を発しないからこそ、ルンバを妥協のないモノまで押し上げてきたのに対し、コミュニケーションが取れ、人の手で移動させてもらえる可能性があるからこそ、充電台に自ら帰るという基本性能を、あるレベルで妥協する可能性があるわけです。今回、テストの時、充電台に帰れないことはなかったのですが、この様に基本性能に妥協を見いだせる言葉は、意識して避けてもらえればと思っています。
最新機種総括
最近のロボット掃除機を4台テストしてみましたが、今までと一線を画します。別に掃除機を1台用意して使うということはなく、これがメイン掃除機。そしてこれだけでも行けるという感じです。正直、フロアケアという家事から、人が解放される日も近いと思います。
これはロボット掃除機の最大手、iRobot社が高い理想を掲げ、誠意を持って商品を作り上げて、他のメーカーはそれに追いつけ、追い越せと頑張ってきたためだと思います。その誠意ある頑張りで出てきたのは、それぞれのメーカー毎の特長が色濃く出た商品群。いろいろな個性があり、百花繚乱。どれをとっても魅力的です。
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