WEDGE REPORT

2015年12月18日

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出所:ASEAN企業地図
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○キーワード1
【華僑】

 彼らの多くは中国福建省や広東省出身の華僑である。この本で取り上げているタイクーンも、本人もしくはその父・祖父が中国本土から移住してきている。移住の時期は1880年ころから1930年にかけてが多い。中国での生活が貧しく、フロンティアを求めてASEANに渡ったケースや、親と死別して先にASEANに渡っていた親族を訪ねたケースなど、移住の理由は様々だが、概して裕福ではない生活環境に育った者が多い。

 中には小学校すら行くことができなかった者もいる。華僑はマイノリティながら、同郷者で形成されるコミュニティーと、これをもとにした同業者の集団ができあがっている。華僑は容易に相手を信頼しない代わりに、一旦信頼したらとことん信頼するといわれ、それが彼らの団結力の背景にもなっている。彼らは家族と友人を大切にする。

○キーワード 2  
【再投資】

 決して裕福ではない生活環境の中で、彼らは生きるために若い頃から働かざるを得なかった。当時、欧米列強の植民地支配の元で、裕福ではない現地人は無数にいたであろうが、タイクーンとそうでない者との違いは、天性の商才と、そこで得た資金の「機を見るに敏」の再投資にある。若くして才能を認められて幹部に抜擢されたり、事業でひと財産を築いたりするのは当たり前。だが真骨頂はその財産に満足せずに、積極的に再投資を行っていることだ。これが後の事業の多角化につながっているケースが多い。

 いつの時代においても、資産形成で大きなインパクトをもたらすのが不動産と株式である。再投資で述べた箇所とも重複するが、タイクーンをタイクーンたらしめるのは積極的な再投資である。香港の李嘉誠は、文化大革命で香港の地価が下がった時に手金で不動産を買い漁り、その後市況が回復した時点で不動産開発を行って巨額の利を得ている。まさに機を見るに敏の再投資である。

 また投資した企業がIPOを果たした際の利益も大きい。この点で出色なのはシンガポールのピーター・リムである。元々サラリーマンだった彼は、稼いだ資金でスタートアップの会社の株式を購入。それが大化けしてIPOの際に1500億円もの利益を得た。サラリーマンとしても成功していたピーター・リムであるが、株式投資による莫大な利益によってタイクーンへの階段を駆け上がったのであった。

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