2024年7月14日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年1月5日

対IS作戦が功を奏しているにも関わらず活発化

 ニューヨーク・タイムズ紙のカイロ支局長を含め3人の記者による広範な現地取材、関係者の取材に基づいて書かれた注目すべき解説記事です。

 ISの指導層は、万一シリア、イラクから駆逐された場合に備えて、リビアの基地を強化しているといいます。

 これは、シリア、イラクでの対IS作戦が奏功していることを意味します。特に、空爆はかなりの被害を与えているのではないでしょうか。空爆だけで地上軍無しでは効果は限定的ではないかといわれてきましたが、もし記事がいうように、ISがシリア、イラクから駆逐される場合のことを考えているとしたら、空爆がISに大きな打撃を与えていることを意味します。今後も空爆が継続されれば、ISに、さらに大きな打撃を与えることになるでしょう。

 ISの指導者は、シリア、イラクでの勝利が難しくなってきたので、目を外に向け始め、パリでのテロ事件はその証拠であるといいます。パリでの事件はISの強さを世界にアピールする格好のテロでした。今後、欧米などでのテロの可能性がさらに高まったと考えなければなりません。

 リビアはISが基地を作るのに最適な場所です。破綻国家である上に、石油資源があります。ISは今後ともリビアの基地の強化に努めるでしょう。

 シリア、イラクでは今後ともISは受け身に立たされ、じり貧状態になるかもしれません。しかし、ISはそれに代わって、欧米などでのテロ活動を活発化させるとともに、リビアなど遠隔地での基地づくりを強化するでしょう。たとえシリア、イラクでISの掃討に成功したとしても、ISはしぶとく生き残り、活動範囲を広げるでしょう。

 ISとの戦いは一層複雑になり、長期化せざるを得なくなります。

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著者:池内 恵/髙岡 豊/マイケル・シン

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