2024年11月22日(金)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2016年1月4日

 ただし、イノベーションの可能性を高める手はある。一つは財・サービスの差別化を徹底し、生産性を引き上げる投資を増やすことである。日本の平均設備年齢はかつてないほど高齢化老朽化しているが、潤沢な手元資金でその更新を図るだけでも生産性は大いに向上する。

 グローバル化も世界中のヒト、モノ、カネを活用する余地を広げてイノベーション力を高めるし、女性・高齢者・高学歴者・外国人を含めた多様な人材の活用も大いに効果がある。そして、内外でのM&Aは多様な人材やノウハウの融合を早める有力手段である。

 2016年の内外経済は動きに乏しいものとなる可能性が強い。しかし、世界経済での潮流変化に身を任せるだけでは、中長期的にも低調な世界経済が続き、せっかく縮小してきた世界経済の格差が再度拡大することになりかねない。

 ここは、トリプル安を追い風とした先進国の出番であり、イノベーションを加速させることが世界経済に新たな飛躍をもたらすことになる。2016年世界経済の課題と期待はイノベーションの進展であり、それはイノベーションの前提となるヒト、モノ、カネの活用に欧米以上の大きな余地が残っている日本経済にも強く当てはまる。

  
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