韓国メディアの報道によると、韓国国防省関係者は、昨年5月の発射実験では水中からミサイルが飛び出す角度が74度だったのに、12月は垂直になっていることから技術的な進歩がみられると指摘。SLBMの実戦配備は「3年から4年以内に可能になる」と予測した。
どれも、北朝鮮には技術的に不可能だと言われてきたものだが、北朝鮮は着実に開発を進めてきた。「水爆ではないようだ」とか「合成写真ではないか」などと言われると、たいしたことないような気になってしまうかもしれないが、現実はそれほど甘くないのである。
制裁の効果には限界がある
韓国の外交通商次官補として6カ国協議の初代首席代表を務めた李秀赫氏は実験翌日の韓国MBCラジオとのインタビューで、核開発にかける北朝鮮の決意が固いものであることを説明した。専門家として、きわめて適切だろうと思われる内容だったので、最後に紹介しておきたい。
李氏は、「なぜ昨日だったのか」には大きな意味がないと説く。北朝鮮は20年前から核開発を進めており、そのスケジュール上にあった実験だからだという。さらに、今回の実験が失敗だったとしても「究極的には水爆を作ってしまうだろう。時間の問題だ」と予測した。
国際社会の制裁についても、強化すべきではあるが、それは「懲罰」としての効果しかないと見る。中国にとっては北朝鮮の生存が不可欠の国益だから、北朝鮮の体制崩壊につながりかねない制裁に中国が同調することを期待するのは難しい。そのために制裁は「懲罰」としての性格しか持ちえず、北朝鮮の行動を変えさせる「予防」的効果を期待するのは難しいというのだ。
李氏は結論として、強圧的な対応で北朝鮮に核放棄をさせるという目標達成は難しく、そうである以上は唯一の対話の枠組みである6カ国協議を使うしかないと主張した。すっきりしない人も多いかもしれないが、それが現実だろう。
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