2024年7月23日(火)

Wedge REPORT

2016年1月30日

国債利回り大幅低下

 マイナス金利導入の発表を受けて、29日の日本の債券市場では、金融機関が日銀当座に預ける分で国債を買うとの思惑から国債が大きく買われ、国債の利回りが大幅低下。10年国債利回りは前日比0.130%低下の0.090%をつけ、初めて0.1%を割り込んだ。8年までの国債の利回りがマイナス利回りとなった。

 こうした国債利回り低下の影響は、金融機関の運用収益を減少させるだけでなく、保険や年金などの運用にも影響する。ただでさえ低い国債の利回りが更に低下することで、国債で運用する部分のリターンが低下すれば、保険や年金の支給額引き下げや予定利率の見直し等につながる可能性がある。

日本株は乱高下した後上昇
為替は円安に

 マイナス金利導入の発表を受け、29日の日本株市場は大きく動いた。日経平均株価は午前中こそ前日比200円程度安い1万6900円程度まで下げていたが、日銀の追加の発表で一気に1万7600円を突破、その後、再び1万6800円レベルまで約800円値を下げ、再度反発して結局前日比476円85銭高い1万7518円30銭で取引を終えた。持続的な効果があるかどうか、それがどの程度の期間続くのか、は別にしても金融緩和は副次的に株式市場にある程度のプラス効果をもたらすと考えてよいだろう。

 為替レートも大きく動いた。ドル円レートは118円60銭近辺から一気に121円を突破する円安ドル高となった。「金融緩和は自国通貨安を招く」の原則通り日銀の追加緩和発表で大きく円安ドル高が進んだ。通貨安を招く効果も、今回のマイナス金利導入の主たる狙いではなく、あくまでも副次的な効果だが、措置としては円安ドル高を招く性格を持つものである。

日銀の意志を示す

 今回のマイナス金利導入は、前述のように実体経済に与える影響、消費や投資を増やす効果というのは劇的なものが期待できるとは考えにくい。既にマイナス金利が導入されている欧州の国々でも実体経済へのインパクトは限定的だ。今回のマイナス金利導入の大きな狙いと実際に得られる効果としては、日銀は2%のインフレ実現のためにどんな措置でも講じるという姿勢を見せるという点ではないかと思う。

 すると、間もなく市場はまた今回残した「次のカード(ETFの買い入れ枠増大や国債の買い入れ枠増大、購入する有価証券の範囲拡大)」がいつ切られるのか、という点に関心を移していくのではないか。すると、こうした心理的な牽制はこの1カ月で大きく市場に広がった不安心理を、大きな売りにつなげにくくする効果があるのではないかと思う。

 一方で、「わざわざ」連呼されている「今回の措置は日銀の買い入れ余地が限界に近付いていることを示すものではない」という点が、かえって怪しいと見る人たちも増えるのではないか。

 いずれにせよ、今回の発表は非常にインパクトのある、大きな発表となり、日銀の存在感とインフレ目標の達成に対するコミットを内外に示す結果になったと思う。

  
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