「十七八(となはち)」
昭和8年創業の、おでんの専門店。昭和の間は料理屋として、他の物も出していたが、平成元年から献立を、おでんに限った。タコ、焼き豆腐、わかめ、牛すじ、春菊、ワラビ、ぎんなん、しゅうまい、ロールキャベツ、湯葉……。30種類近くある種の中、春はそら豆、夏はオクラ、冬は貝と牡蠣が仲間入り。朝の仕込みは、ダシとりと、コンニャクしきから始まる。長年大事に守るダシは、かつおと昆布、少しの鶏ガラで丁寧に。だいこんは沸騰させず、ことこと炊いて味をつける。時間はかかるが優しい味に仕上がるという。こちらのおでん食べたさに、わざわざ東京や九州から新幹線に乗って、姫路までやってくる常連もいる。
兵庫県姫路市呉服町46
079-222-1275
銅板の四角い鍋は、熱伝導を均等に保つため
カウンター席のみ。品書きはなく、お母さんとの会話の中で、おすすめを聞いたり、好みを伝えたり、味わう種を選び合う
お酒は姫路の銘酒・八重垣。おでんは、好みでカラシをつけて味わう(姫路では少し前から、生姜醤油でおでんを味わうおでんを「姫路おでん」と銘打ちご当地食として紹介しているが、こちらは昔から変わらず、薬味はカラシ。素材そのものの風味を味わってほしいと、生姜醤油は出していない)
ご近所さんは家から鍋を持参して、好きなおでんを持ち帰る。この日も、鍋持参のお客さまに遭遇
店名の「十七八」は、人の名からつけたそう
「新生軒」
散策途中、通りかかったラーメン屋の佇まいに惹かれ、おでん屋での夕食時に、おなかの隙間を作っておいた。メニューは、中華ソバ、ワンタン、ワンタン麺、餃子、ライスのみ。注文したのはワンタン麺。目の前に運ばれてきた丼をのぞき込み、思わず感嘆。スープが透き通っている! 麺を箸でぐいっと引き上げると、下に隠れた雲のようなワンタンが姿を見せる。麺は柔らかく歯切れよく。豚骨と鶏ガラが下地の塩味のスープはさっぱりでありながら旨みがじんわり。ふわりつるりのリズムを奏でるワンタンが合間合間に口の中をなでる。一日の〆にと欲張ったが、もたれることなく、ぐっすり眠った。
兵庫県姫路市南町59
079-222-5439
店があるのは南町栄通り商店街の入口。創業は昭和30年頃で、現在は3代目。昔から変わらぬ味なのだろう