日本の近代美術界の大家として、その名を知られる黒田清輝(せいき)。生誕150年の記念の年となる今年、これまでにないスケールの回顧展が東京国立博物館で開かれる。
展覧会は、黒田のフランス留学時代、帰国後日本を主題とした洋画を模索した時代、そして美術教育や行政における中心的な役割を担ってから晩年までの時代の3つの章で構成。国内外の27機関から、関連資料を含む約240件の展示を通して、知られざる巨匠の実像に迫る。
カンヴァス、油彩 東京国立博物館蔵
会場には、箱根の芦ノ湖畔で後に夫人となる女性を描いた「湖畔」や、フランス留学時代にサロン初入選作となった「読書」、1900年に開かれたパリ万博の銀賞受賞作「智・感・情」など、黒田の代名詞ともいうべき傑作が一堂に会する。さらに空襲で焼失した東京駅貴賓室の壁画や、裸体画論争を巻き起こした「朝妝(ちょうしょう)」を再現した映像など、失われた作品も含めて、その画業をたどることができる。
また、フランスで黒田が師事したラファエル・コランをはじめ、モネやミレー、シスレーなど、影響を受けた同時代のフランス人画家の作品や、青木繁、小林万吾など、黒田に学んだ日本の洋画家の作品もあわせて展示。黒田を取り巻く近代洋画の世界が展観できるのも興味深い。
<開催日>特別展 生誕150年 黒田清輝─日本近代絵画の巨匠
2016年3月23日~5月15日
<会場>東京都台東区・東京国立博物館 平成館(山手線上野駅下車)
<問>☎03(5777)8600
http://www.tnm.jp/
*情報は2016年1月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください
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