赤坂英一の野球丸

2016年2月15日

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 それでは今年、松井氏は巨人の選手に何を教えているのか。A・ロッドなど大リーガーの打ち方を引き合いに出し、「いいバッターはみんな軸がブレない」といったレクチャーをしていることが報じられていたが、これを伝え聞いた他球団の打撃コーチは「松井は軸回転で打つ長距離打者だからそういう打ち方でいいだろう。でも、軸回転とは違う打撃をしている選手もいる。そちらには何を教えているんだろうね?」と疑問を呈していた。

文句のつけようのない人格者

 松井氏はあくまでも巨人に要請されたから臨時コーチを務めている。そういう意味では善意と厚意の行動である。ファンやマスコミも表向きはそれを大いに喜んでいる。格好の話題作りになって、宮崎キャンプを見に来るお客さんにも写真に撮るものができた。松井氏もそうしたファンに向かってマイクパフォーマンスを演じたり、自分を囲む記者たちには優しく気さくに接してくれたり、まったく文句のつけようのない人格者ぶりである。

 しかし、これが巨人にとってどれだけ役に立つのか。もっと言うなら、松井氏にとって本当にやりたいことなのだろうか。

 オークランド・アスレチックス時代に私がインタビューしたとき、松井氏は「ぼくはいまでも巨人を愛してます。これから巨人でいい若手が育っていくことを期待してますよ」と明言。現三軍監督の川相昌弘の名前を引き合いに出し、「ぼくがそう言っていたと川相さんにも伝えてください」と言っていたものだ。あの言葉にウソはないはずだ、と私はいまも思っている。が、その一方で、今回の臨時コーチにはどこか儀礼的なニュアンスが強く感じられるのも確かなのだ。


  
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