北川さん:二人の子どもがいます。長男は中高一貫の進学校に通っていました。部活を楽しみ友人とも良い関係を築いていましたが、肝心な成績が不良だったために問題児扱いされ、高校進学不可と中学側から通達されてしまいました。心が傷ついた息子は部屋に閉じこもり、朗らかだった表情からは笑顔が失われました。親として出来ることは、家庭以外にも息子が安心して居られる新たな場所を探すことでした。身内以外には誰にも相談できず、夫と二人でインターネットや教育関係の資料を漁るように探し続けて、はじめ塾に辿り着きました。必死な思いで問い合わせをしたのが始まりです。
そこから通塾生という形でお世話になり高校受験の指導もいただいて、お陰様で今は本人に合った高校で学生生活を楽しんでいます。新しい場を得た息子は、はじめ塾を卒業したとの思いが強いようですが、親の方が通い続けていて、まだ3年ほどの関わりですが、いつの間にか活動のお手伝いもさせていただいています。塾生たちの生き生きした姿に触れることで、私も活力を得ています。
学級崩壊の中で見つけた新たな選択肢
伊藤さん(父):はじめ塾と関わり始めた当時、長男の通っていた小学校のクラスは学級崩壊を起こしていました。息子には暴力的な行為を受けたら「やり返せ」と背中を押してあげることが良いと思っていましたが、今考えると私は本人のことを理解せず、プレッシャーをかけていたかもしれません。
伊藤さん(母):生徒のなかには担任の先生に物を投げたり、突然大声を出したり、立ち歩く子もおり、落ち着いて授業を受けられる状態ではなく、本人も翻弄されていました。毎日不安を抱えて息子を送り出すのがつらかったです。
伊藤さん(父):そうしたときに、正宏先生から「学校に行かない」あるいは「環境(学校)を変える」といったアドバイスを受け、そういう選択肢もあるのかと非常に驚きました。しかし、妻の直感もあって、僕らは学区を変えるために思い切って住まいを移ることにしました。いろいろと大変な面もありましたが、その選択肢は正しかったと思っています。我が子を思う母親の直感に勝るものはないと、それ以来強く感じています(一同頷く)。
伊藤さん(母):同じ市内で引っ越しましたので、いずれ中学で当時の同級生と一緒になる不安がありました。親としては、はじめ塾に寄宿させたい気持ちもあり、中学受験をさせるかどうかを迷っていましたが、本人自ら願書を取り寄せて受験勉強を始め、担任の先生に推薦状を書いてもらうというアクションを起こしたのには驚きました。結果的には合格して、新入生代表の挨拶をすることになりました。
高橋さん:ドラマのようですね。実は我が家の子どもたちも、私がはじめ塾に出会った意味を後付けのようにひしと感じさせられるような展開になりました。それぞれに個性は違いましたが、4人が4人とも違った事情を抱えて学校をやめることになりました。