古いコースター活用でコスト削減も
しかもVRコースターはテーマパークにとってコスト節約の要にもなりうる。現在新しいコースターをデザイン、建設するのにかかるコストは2500万ドルと言われる。しかしVRコースターならばソフトウェアを書き換えるだけで、全く新しいタイプのアドベンチャーを創り出すことができるのだ。
実際、ロサンゼルスなど6つのテーマパークで「ニュー・レボリューション」に使われるコースターは1976年に建造された「レボリューション」。当時は世界初のループコースターとして話題になったが、今や4Dライド(座席が固定されず、座席そのものが回転するもの)などが登場する中、古臭くなった感は否めない。VRコースターはこうした古いタイプのコースターを「リサイクル」する、という意味でも非常に合理的なアイデアだ。
シックス・フラッグスは世界に14のテーマパークを展開する大手だけに話題になっているが、今年はその他のテーマパークでもVRライドが一気にデビューする。
人気アトラクションに変身遂げる既存施設の数々
米のシーダー・フェアは今年の夏少なくとも2つのVRコースターをテスト導入し、その結果により全国展開の予定だ。カナダではワンダーランド・アミューズメントが従来の「サンダー・ラン」というコースターに、追加料金でVRヘッドセットを提供する予定。
4月には英国のアルトン・タワーズが「ギャラクティカ・バーチャル・リアリティ・エクスペリエンス」を導入、ロケットで宇宙に飛び出すイメージを楽しめる。日本ではユニバーサル・スタジオ・ジャパンがきゃりーぱみゅぱみゅをホストにしたインドアコースターでのVRライドが話題だ。さらにドイツでもマック・ライドが今年中にVRライドを追加する、としている。
コースターだけではない。英国のトルプ・パークではチンチン電車を「VRお化け屋敷列車」にする、という試みがある。5月6日にデビュー予定で、「ゴースト・トレイン」と名付けられた「家族全員で楽しめる」VRのホラーだ。
このようにVRで既存の施設を人気アトラクションに変身させる、というのが今後のテーマパークの主流になるかもしれない。どれだけエキサイティングなソフトを提供できるか、という競争は今後激しさを増すだろう。
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