西海岸で最も背の高いビルは、ロサンゼルスダウンタウンにあるUSバンクタワー。1989年に完成し、72階建てで高さは310メートル。86年の火災で焼失したロサンゼルス図書館再建のため、「地上権」をおよそ10億ドルで売却することで建設が着工された。
ロサンゼルスダウンタウンのシンボルとして親しまれているが、同時に「西海岸で最も高い建物」ということでテロの標的にもなっている。2001年の同時多発テロの際、ニューヨークの世界貿易センタービルと並んでUSバンクタワーも標的候補のひとつだったことが明らかになっている。
そんなバンクタワーだが、さすがに老朽化が目立ってきた。このビル、13年にシンガポールのOUE社に売却されたが、同社が今年3月、大々的なリノベーションプランを発表した。中でも目玉となるのが「地上300メートルの滑り台」だ。
プランでは70階部分を「OUEスカイスペースLA」と銘打ち、ロサンゼルスの全景が楽しめるバースペースとする。69階には建物の周囲を囲むガラス張りの展望所を増設、新しいダウンタウンの観光名所にしたい、という。
注目の滑り台は、70階部分から69階をつなぐ、床も周囲も全面ガラス張りのもの。名称は「スカイスライダー」。ダウンタウンを真下に眺めながら、ちょっと肝の冷えるスライドが楽しめる。
ただし一回滑るための価格は8ドル。70階と69階へのアクセスには25ドルかかるため、合計で33ドルが必要だ。それでもニューヨークのエンパイアステートビルよりは安く、6月25日のオープン後には大勢の観光客が詰め掛ける新しい名所になるかもしれない。
西海岸一背の高いビルの称号を失う
このタイミングでリノベーションが行われる背景には、来年にUSバンクタワーは西海岸一背の高いビルの称号を失う、という事実がある。新たに最高峰となるのは韓国の大韓航空が現在建設中のウィルシャー・グランド・タワー。900室の4つ星ホテル客室、ショッピングセンター、オフィスなどの複合施設で、USバンクタワーよりも約2メートル高い。ガラス張りの帆船のようなデザインは、オープン前だがすでに注目を集め、ダウンタウンの新しいランドマークとなっている。