2024年11月25日(月)

Wedge REPORT

2009年11月25日

 そこで都は、民間エアラインOBの技術者や部品調達業務の経験者などの専門家を派遣して、図面を渡された際にはどう製造するのかを検討する勉強会を開催したり、認証取得支援のため、上限300万円とし、対象経費の2分の1を補助するなど、本気の企業にはトコトン支援するとのスタンスだ。傳田氏は、「今後はTOKYOというブランド力を活かして、世界にアマテラスの存在を発信したい」と都を挙げた体制で取り組んでいくという。

経営者の駆け込み寺 足を運ぶその理由は

公的産業支援施設の相談実績
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 富士市産業支援センターには朝8時を過ぎると、相談者が入れ替わり立ち替わりやって来る。昨年8月のオープンから1年で相談件数は1600件を超え、全国にある公的産業支援施設の相談件数と一線を画す。相談業種はサービス業、製造業、農業、小売業など多岐に渡り、内容も新製品開発、販路拡大、連携など様々、相談者の4割が市外から足を運ぶ。このセンターを率いる小出宗昭氏は静岡銀行の出身で、静岡市、浜松市の産業支援施設で創業・事業支援に7年間携わり、三顧の礼で地元の富士市に迎え入れられた。

 中小企業庁が「相談に足を運んでもらうこと」に政策のプライオリティを置いており、相談件数だけでも意味がある。しかし小出氏は一定の評価を下すも、「産業支援はビジネスコンサルティング。企業の問題点を指摘し、プランを描くだけではだめで、あくまでも結果が重要」と言い切る。

相談者が絶えない富士市産業支援センター

 社員13人で金属加工業を営む司技研(富士市)は、高度な加工技術と3日以内の納入という特長を活かした「試作特急サービス3DAY」の提案を受け、相談から1カ月もたたないうちに売上増に成功した。「一般的な経営相談では財務や営業の弱点の指摘を受けるが、ここはお金をかけずに強みをどう活かすかを考えてくれた」(笹木勝吉・事業局長)というように、小出氏の支援スタンスは、まず相談者の話に耳を傾け「今まで継続してきた企業には必ずある」というセールスポイントを見抜く。これに気付いていない経営者が意外に多いようだが、この強みと市場ニーズとをどう結びつけるかが腕の見せ所。戦略を立てると一気に実行に移すスピードも魅力だ。

 産業支援に求められる要素を小出氏に訊ねると「資格ではなく、センス、コミュニケーション、熱意」の3つを挙げる。実績があるからこそ人は集まり、人と情報が集まるからこそ新規ビジネスの可能性はさらに高まる。人が集まらない産業支援施設にお金をつぎ込んでも、それは経営者が本当に求めている公的サービスではないことを肝に銘じなければならない。

「この人あり」と言われる商工マン

 中小企業の支援者の一人としてあげられる商工会議所の経営指導員。だが、役所や自治体から上意下達の連絡を行うだけで、「経営支援などサポート役としてはいまいち」という声が聞こえてくる。それでも、「この人は」という人に出会うことができた。草加商工会議所の経営指導員山﨑修氏。紹介者の一人は、「経営支援とはサービスの一種で、元営業マンの山﨑氏はそれがよく分かっている」。そして、「縄張り意識の強い業界で型破りといえるほど、新たな取組みにチャレンジしている」と評する。


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