足立倫行のプレミアムエッセイ

2016年3月26日

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 考えてみれば、今年ヒキガエルの出現日を予見できなかったのは、冬のバードウォッチングに力を入れすぎたせいもあるかもしれない。

シジュウカラ(iStock)

 これまでは仕事が忙しく、木の枝に小さな籠を吊るし、中にヒマワリの種を入れておくだけだった。するとシジュウカラ、シメ、たまにカワラヒワなどがやってくる。

 この冬からは植木鉢を片付け、コンクリート製の台を、野鳥を呼び寄せる餌台、すなわちバードテーブルに転用することにした。

 テーブルの上に、昨年の使い残しの古米、ペットショップで買ってきた野鳥用雑穀などを撒いておくと、スズメ、ムクドリ、キジバトなどが飛来して餌をついばむ。

 スーパーで一山いくらの特売品のミカンを購入し、1日1個輪切りにして置いておくと、数羽のメジロがすぐに現れるし、ヒヨドリも甲高い声を発して急降下してくる。

野鳥たちの世界はなかり世知辛い

 解剖学者にして昆虫研究家の養老孟司さんは、「1日15分自然を見ること」を提唱している。自然界が人間の価値観とまったく関係なく動いていることを、この世界を生きる上での前提として知っておこう、というのだ。

 その点、野鳥観察は面白い。

 我々は「鳥のように自由に」と思いがちだが、カーテンの隙間から覗き見る限り、野鳥たちの世界はかなり世知辛い。

 ミカンを突くメジロは命懸けだ。キョロキョロビクビク(だが美味い汁!)。ヒヨドリの姿を察知するや藪に飛び込むが、少し遅れると執拗に追い駆け回される。

 美声のシジュウカラも喧嘩は弱い。自分より大きなシメはもちろん、ほぼ同サイズのスズメにも簡単に餌場を横取りされる。

 弱肉強食、というよりも餌で競合する場合は基本的に強い者勝ちの世界なのだ。

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