風情ある町並みが残り、山陰の「小京都」と呼ばれる島根県津和野町。かつて津和野城があった丘陵の南麓に位置する鷲原(わしばら)八幡宮では、毎年4月の第2日曜に古式ゆかしい流鏑馬(やぶさめ)神事が挙行される。
流鏑馬の舞台となる鷲原八幡宮の馬場は全長200メートルで、横馬場形式の原型を残す国内最古の馬場。同宮の流鏑馬神事の歴史は江戸時代にさかのぼるが、明治時代に入り長らく途絶えていたという。昭和30年代に地元有志による流鏑馬が復活、昭和51年(1976)に正式な神事として、現在の小笠原流古式流鏑馬神事が奉納されるようになった。
当日は、11時と14時の2回にわたり流鏑馬が行われる。鎌倉時代の狩装束を身に着けた射手(いて)が、疾走する馬にまたがって「インヨー(陰陽)」と叫びながら、3つある的に次々と矢を放っていく。50センチ四方の的に矢が当たると、観客からは大きな拍手が沸き起こる。
昨年は約8千人の観客が訪れ、時代絵巻を彷彿(ほうふつ)とさせる射手の妙技を満喫した。馬場に沿って設けられる観覧場所のなかでも、命中の様子が間近で見られる的近くでは、より迫力を感じることができるという。鷲原八幡宮は桜の名所としても有名で、開花時期に重なれば、桜吹雪の中を走り抜ける風景が見られるのも楽しみだ。
<開催日>鷲原八幡宮大祭 流鏑馬神事 2016年4月10日
<会場>島根県津和野町・鷲原八幡宮(山口線津和野駅からバス)
<問>津和野町観光協会 ☎0856(72)1771
http://tsuwano-kanko.net/
*情報は2016年2月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください
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