2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年4月14日

“共通の価値”守るには危機感の共有を

 これは有益な問題提起だと思います。「共通の価値」は空念仏ではありません。「共通の価値」の基礎の上に築かれた日米欧の連帯と組織・制度の重要性は、今もなお、あるいは従来にも増して、変わらないものです。それが、破壊されようとしている、と論説は警告しています。そういう視点でトランプの出現の危険性を見る必要があります。

 通例、諸外国の内政に介入しないことが、外交上の礼儀です。しかし、最早そう言ってもいられないのではないでしょうか。危機感を共有することが必要です。伊勢志摩サミットはそのための格好の舞台です。この場で一言あってしかるべきだと思います。そのイニシアティブをとり得るのは日本とドイツしかありません。米英仏の首脳も、それぞれの立場を考えると、むしろそれを歓迎するかも知れません。

 もとより、言い得ることには限界があります。キーワードは、月並みではありますが、「共通の価値」「同盟と連帯」「対外関与」「負担の分担」「EUとNATO」「TPPと太平洋の安保ネットワーク」といったものとなるでしょう。仮に、トランプ、ルペン、コービンが顔を揃えるようなことがあれば、G7はその生命を終えることになります。

  
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