世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年4月19日

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 今年の全人代は良い恰好をしているが、当局は今後、その見かけを維持しえなくなるだろう。習近平のメディアや反体制派への締め付けは困難な時代への準備のように思える。

出典:‘China’s Economic Rumbles’(Wall Street Journal, March 16, 2016)
http://www.wsj.com/articles/chinas-economic-rumbles-1458170883

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 中国経済の減速懸念は、先の全人代の結果、後退したように思われます。しかし、この社説は、労働力不足による賃金上昇、実質金利の上昇、債務問題など、問題が山積していること、その問題が虚偽報告や情報の歪曲のためによく認識されていないことなどを指摘し、中国経済の将来への悲観論を展開しています。一つの見方でしょう。

中国経済の光と影

 ただ、中国経済には巨大な外貨準備があり、財政支出を増大させる余地、強権的に産業の構造改革を進める力など、強みもあります。

 中国経済の光と影を総合してどうバランスよく見ていくかの問題です。輸出主導高度成長の時代が過去のものになったこと、今後は内需主導の経済に移行していく必要があることは明らかです。この転換を中国が成功裏に行っていけるかどうかは、多くの要因が絡み合う話であって、簡単に結論めいたことは言えないように思われます。さらに、中国の統計資料が信頼できないことは判断を著しく困難にします。

 中国経済については、中国政府が言うように、2020年まで平均6.5%の成長をするとの前提をおきながらも、減速した場合にもそうでない場合にも備えておくしか手がないように思われます。さらなる中国の巨大化は好ましくありませんが、中国経済が混乱、減速すれば、その世界経済に与える影響も大きく、やはり好ましくありません。

 いずれにせよ、中国は経済的にも政治的にも不安定な国であることを認識し、将来大きな影響を受けないように、対中エクスポージャーをできるだけ抑えておくことが得策ではないかと思われます。中国経済のハードランディングへの警戒心は、李克強の「ハードランディングはない」との発言にもかかわらず、持ち続けておくのが正解と思われます。

  
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