広島新スタジアム問題
サンフレッチェ広島が、現在ホームスタジアムとして使用しているのがエディオンスタジアム広島である。かつて、広島ビッグアーチと呼ばれた収容人員5万人のビッグスタジアムは、1994年に広島で開催されたアジア競技大会のために、1992年に建設された。当時の基準や予算で建てられていることや、Jリーグクラブライセンス制度が、2013年から実施されている新しい基準だということもあり、トイレの数や観客席を覆う屋根のカバー率といったB等級基準を満たしておらず、処分対象になってもいる。ただし、これはサンフレッチェに限った状況ではなく、Jクラブの半数近くがまだ対応できていない。
さらに問題視されているのは、アクセスである。JR広島駅から車だと約40分ほどの距離にあるが、試合当日は慢性的な渋滞が起こっており、深刻なのが駐車場の不足である。サンフレッチェ広島は、駐車場からスタジアムまで無料のシャトルバスを運行しているが、このコストがサンフレッチェの運営を圧迫している上に、サポーターは、長蛇の列に並ぶことを余儀なくされている。公共交通機関を使うと広島駅から1駅の新白島駅でアストラムラインに乗るという手段もあるが、乗り換えが多く、1時間近くかかってしまう。
また、陸上競技場であることやアジア大会に合わせた大規模スタジアムであるため、Jリーグの地方クラブのスタジアムとしては大きすぎ、平均的な1.6万人の入場者があっても、客席がスカスカに見え、一体感に欠けてしまう。年輩のサポーターからは、「スタンドからだと誰がプレーしているか分かりづらいため、専らテレビ観戦をしている」という声もある。
スタジアム問題については、佐藤選手の考え方は明快である。それはサポーターが楽しめる雰囲気がスタジアムにあるか、ということである。「雰囲気がいいに越したことはないですが、僕らは芝の上でプレーするので、正直、選手が感じる以上に、見ている人がどう思うかが大事だと思います。今の場所、今のピッチの距離感で、選手のプレーが事細かに見られるのかというと難しいし、背番号も見えづらいこともあると思います。今のスタジアムには、ホントによく来てくれているなと思いますし、今だとサッカーを見に行くだけで一日が終わってしまうんですよね。市街地にスタジアムがあると、言葉は悪いですが、ついでにサッカーを見る人も増えるだろうし、複数の計画を立てられるので、経済効果もあると思います。間違いなく僕が現役の間にはスタジアムはできないと思います。これからこのクラブに入ってくる人たちのためにも、そして、ずっとサンフレッチェを応援してくれている人たちに、そういう空間でサッカーを見せてあげたいなっていう思いがあります」