2024年11月25日(月)

Wedge REPORT

2009年12月8日

 北ヨーロッパの真ん中に位置するスウェーデン。飛行機でわずか1時間の距離にフィンランド、デンマーク、東ヨーロッパなど1億人のマーケットが存在する。ハンス氏が「スウェーデン企業が生み出すサービスの80%以上がワールドワイドで供給されている」というように、通信機器メーカーのエリクソンをはじめ白モノ家電メーカーのエレクトロラックス、飲料用紙容器のテトラパックなど世界企業が数多い。

 しかもインターネット電話「スカイプ」の技術がスウェーデンから生まれるなど、ブロードバンド環境は世界有数。特にインタラクティブなネットシステム構築には定評があり、イケアも導入するCSO(カスタマー・サービス・オプティマイゼーション)というネットサービスは、画面上に登場するアバター(分身キャラクター)とのチャット会話を通じて、サービスの不具合や利用者の欲しい情報を吸い上げ、情報提供する手法で、問い合わせのオペレーション業務を簡素化するなど、コスト削減とともにサービス向上に役立てている。

 このシステムは、スウェーデン税務署や社会保険庁が導入済みで、「今後は、音声会話によるサービスも予定」(CSOの日本代理店・インターワーク・松井孝澄社長)という。

 「スウェーデンという国は1人当たりの占有面積が広いため、フラットな人間関係で、人と人とのコミュニケーションを重視するため、繋がる手段として携帯電話やネット環境の整備が早かった」。前出のハンス氏の分析である。

 確かに、H&Mやイケアと取引の関係のある日本企業に特徴を聞くと、「米国や欧州の大国と違って長期の視点を重視し、徹底した議論の末に出した結論には下手な駆け引きをしない。長期の信頼関係が築ける」という評価だ。

 一方で、「地方進出など販売拠点が増えれば、今の物流システムでは限界がくるのでは」「品質に厳しい日本人には、ベストクオリティとは言えない」など両社に厳しい声があるのも事実。

 遠い北欧から進出してきたH&Mとイケア、両社が日本に一層定着していくのか。厳しい経済環境で生まれた徒花で終わるのか。今しばらくは、その動向に注目が集まる。

(次ページに、H&M・イケア両企業社長のインタビューを掲載しております)


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